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ウクライナの体操選手で銀メダルを獲得したベルニャエフ選手について、また彼が言ったとされる「無駄な質問だ」についてなど

 体操の内村選手と金メダルを争ったウクライナのベルニャエフ選手のことが話題になっている。内村が最後に逆転したことで、採点に疑問を投げかけた記者がいたが、ベルニャエフ選手は「無駄な質問だ」と言い放った、とのこと。

 「無駄な質問だ」の部分の原文を探したところ、多分、この記事にあるこの部分だろう。

Что касается судейства, то если ставят оценку, она соответствует. Он получал и выше, никаких вопросов не должно быть”, — заявил Верняев журналистам

 ざっくり訳すなら、「審判については言えば、彼らの判定はいつも妥当なものであり、内村は高得点を取った、ということ。疑問の余地はない。」という感じ。「無駄な質問だ」というのは同時通訳者の言葉だが、вопросという単語には「質問」の意味と「問題」の意味があって、彼は記者の質問が無駄と言ったのではなく、単に「判定に問題はない」ということを言ったのではないかと思う。

 私は同時通訳なんてとても出来ないし、正反対のことや、大きく間違ったことを言わなければ、同時通訳の場合はそれでオッケーってところがあるので、ケチをつけるつもりはないのだが、この言葉で検索すると、かなりな反響があったみたいなので、そこまで強い言葉は言ってない、ということは言っておいたほうがいいのでないかと。

 私はそれよりも彼の出自が気になった。というのは、彼はウクライナ代表だがロシア語を話していたので、おっと思って、出身を調べてみたところ、ドネツクだった。ドネツクはロシア語話者が多い地域で、現在、紛争を経て、ドネツク人民共和国がその多くを実効支配している地域となっているところが、親ロシアの人もいれば、親ウクライナの人もいる。彼の場合、試合後のインタビューでインタビュアーのマイクがロシアのメディアのものと分かった瞬間にインタビューを拒否した、という記事が出ていることから、親ウクライナの人だということがわかる。

 また、内村への敬意は相当なもので、内村を陸上のボルトや水泳のフェルプスに例えていたが、さらに「みんな内村がどれほど練習しているか知らないだろうが、おそらく彼は人の20倍はやっている」とも言っている。

 ロシアのドーピングで揺れる今回の大会だが、ドーピングについてはこちらの記事によると、「ウクライナにはドーピングやるお金もないし、私も練習にすべてを捧げることはできない。」と、金銭的にも環境的にも不十分な中で練習をせざるを得ない状況を述べている。

 紛争で揺れるドネツク出身で、経済的にも疲弊しているウクライナ社会にあって、ここまでのパフォーマンスを見せる、というだけで、もうすげぇ、って話だと思うし、世界選手権6連覇の内村をして「次の大きな大会で彼に勝てる自信がない」と言わしめるだけの実力ある選手で、今後ウクライナに希望をもたらす選手になってほしいと思う。

 あと、「ウクライナでは不満噴出…内村に金メダル「盗まれた」/体操」などという記事が出ているが、ウクライナメディアの記事をざっと見たところ、概ね冷静なもので、彼自身が結果に満足していて、内村に敬意を抱いていることもしっかりと伝えられていることも付け加えておきます。