土人について

 沖縄での機動隊員による土人発言が物議を醸している。

 この発言自体が沖縄への差別意識の現われであり、こうした発言自体許されないと思うが、私が違和感を覚えるのは、この機動隊員を何とか擁護しようとする動きが政治家の間で見られたことで、どういうことなのか、と測りかねている。例えば、以下の記事など。

大阪知事、「土人」発言の機動隊員に「出張ご苦労様」
「土人」発言、鶴保沖縄相「間違いと言う立場にない」

 土人といえば、浅田彰がかつて天皇崩御の際に「連日ニュースで皇居前で土下座する連中を見せられて、自分はなんという『土人』の国にいるんだろうと思ってゾッとするばかりです」と述べたことがあるが、彼らに共通するのは、自分が土人ではないという立ち位置で発言している点で、さらに発言主体の多くが関西人である点にも注目したい。

 かの大阪府の機動隊員がどこの出身か知らないが、話している関西弁からおそらくは大阪か大阪周辺だろう。また、松井大阪府知事も鶴保沖縄相も大阪出身のようであるし、浅田彰は生粋の京都人だ。彼らは関西の都市部の人たちで、自分たちがゆめ土人の側にいるとは考えていないのであろう。

 「土人」発言は何が問題なのか 大阪で沖縄女性らが見せ物にされた人類館事件という記事によると、大阪でかつて「7種の土人」として、沖縄やアイヌなどの人々が展示されたことがあるとのこと。

 私は京阪神の都市部出身の人たちと話していて、自分がむしろ「土人」寄りの人間であることを感じざるを得ないときがある。土人と言われる側はやはりこの言葉が上から下への目線でなされていることが分かるので、気分のよいものではない。

 土人とは元々「土地の人」ぐらいの意味だったようだが、明治時代にアイヌへの同化政策として制定された「北海道旧土人保護法」という法律の名称にもあるように、明治期の文明開化の恩恵を受けていない人々=未開の人々という意味付けがなされたようで、今や元の意味から転じて「未開地域の原始的な生活をしている住民を侮蔑していった語」という意味をも持っており、不用意に使うべきでない言葉となっている。

 件の機動隊員は記事によると「(抗議する人が)体に泥をつけているのを見たことがあり、とっさに口をついて出た」と述べているそうで、「侮蔑的な意味があるとは知らなかった」のだそうだが、そんなわけないやろと思いつつ、カメラの前で堂々と述べており、ここまで強い反応が来ることは予想していなかったのであろう。

 朝日の記事で中川淳一郎という人が「『土人』という言葉はネット上で沖縄と福島の人に対して使われることが多い」と述べている。2ちゃんねるなどでそうした書き込みがいくらかあるのであろうが、ネットスラングでは自分たちとは違う文化圏で文化的でない振る舞いをすると彼らが思う特定の地域の人々を土人と名指す傾向があるのではないかと思う。

 ちなみに、私はネットスラングに通じているわけではないが「福島土人」でフレーズ検索すると、今日時点でせいぜい9440件であり、沖縄土人の119000件を大きく下回っていることは指摘しておきたい。さらには「大阪土人」は29800件で、むしろ福島土人より多いことも指摘しておこう。ついでに、「滋賀土人」は868件で、関西圏では馬鹿にされがちな県であるが、要するに関心の外にある地味な都道府県はこうした侮蔑対象にも上がらないってことのようで。

 かつて、夏目漱石は「現代日本の開化」という題目での講演で当時の明治日本の文明開化を「皮相上滑りの開化」と述べた。英国帰りの漱石の目には文明開化したとされる日本がただ上っ面だけ開化したように見せかけているだけで、いわば日本は未開の国なのだと述べたと言ってよいだろう。

 あちこち話が飛んでしまったが、要するに私が述べたいのは、いつもの話になるが、明治の文明開化が「キリスト教をバックグラウンドに持つ先進文化への同化」だったとすると、全く別の文化圏に属していた当時の日本には土台無理な話だったのであり、明治の文明開化から一世紀半を経た今、そうした方向性の限界が見えつつあるのではないか、という話。

 そして、土人についていうなら、現代にあっても、明治期のお手本であった欧米社会の目から見ると、日本人というだけで「非キリスト教文化圏の未開人=土人」にカテゴライズされる可能性がある、ということで、欧米に行ったことがある人なら、一度ならず嫌な目に会ったことがあるはずだが、今もそうした差別は厳然とある。

 というわけで、土人と蔑む言葉を口にするのはやめた方がいいと思うし、未開の側を開化済と思っている側が蔑むこと自体も回り回って自分に返ってくる可能性があるので、やめた方がいいだろう。土人といった本人が「大阪土人」と揶揄されているのだとしたら。また日本人の土人ぶりにゾッとした浅田彰が欧米で未開人=土人扱いを受けたことがあるのだとしたら。

 ところで、浅田彰は彼の言う土人の作った食物を食べて大きくなったことをどう自分の中で消化しているのだろうか。彼などはソイレント・グリーン的な完全栄養食を好んで食ってそうだが(すんません、イメージでゆうてますw)、今も浅田彰はそうした土人の国に住んでて、京都にお住まいになっているようで。この土人騒動をどう見てるのか、ちょっと気になる。

 しかし、かのスキゾキッズ浅田彰も来年で還暦か。自分も年をとったもんだな……。

10月5日の身辺雑記(仕事募集中)

 9月後半は10月から稼働するシステムへのプログラム納品のため、自分の可処分時間のほとんどを費やすことになり、ほとんど何もできなかった。その影響で、子供と接する時間が少なくなり、ほとんど相手をしてやれなかったためか、すぐに泣き出したり、ぐずったりするなど、不安定になってしまい、その対応も大変だった。

 9月は夏野菜が終わり、秋野菜の播種の時期でもあるのだが、ほとんど時間が避けなかったため、放置状態となり、ポットで育てていた苗はいつの間にか虫にやられていて全滅、補修が必要だった畑を囲う網も手遅れとなり、収穫間近だったトウモロコシがサルの軍団に襲われて全滅、と散々な目にあった。ここは冬は豪雪に見舞われるので、今から種を蒔いても、手遅れなんだろうなぁ。。。

 山もほとんどいけてなかったが、最寄りの森林組合で「腐っていたりしない限り、山から切り出した木を買い取る」という制度が始まるらしく、一度、少しでも持ち込んでみようかな、と思っているところ。事前にいろいろと書類を出したりしなくてはならず、面倒だが、少しずつでも動いていかないとこういうのは続かないもので。

 前々から予定していた引越しをそろそろやろうかと思っている。いろいろと調整が大変だが、こういうのはえいやっとやってまわんといつまでたってもできん。

 引越しに伴い、仕事場も変えることにしようとしている。滋賀南部から通えるところを探していて、私でお役に立てるところが見つかるといいのだが、45歳という年齢の壁はそれなりだろうから、心してかからないと。何かよい話があれば、どなたかご連絡ください。(在宅仕事も歓迎します)

 ブログもほとんど書けてなかったが、久々に身辺雑記を書いてみました。

網の補修が間に合わず、サルに侵入されて食い散らかされたトウモロコシの残骸
網の補修が間に合わず、サルに侵入されて食い散らかされたトウモロコシの残骸
四方に網を張っているのだが、長辺の方の中央部がたるんでいて、ここにもう一つ支柱を立てる予定だったが間に合わなかった
四方に網を張っているのだが、長辺の方の中央部がたるんでいて、ここにもう一つ支柱を立てる予定だったが間に合わなかった