サクシードのドアミラー(サイドミラー)を交換

 先日、考え事をしていたためか、保育園に行ってから、子ども用の荷物(着替えや紙オムツ、食事セットなどなどを詰めあわせたカバン)を忘れてきたのに気づき、職場にも遅刻決定で、慌てて引き返そうとしたのだろう、安全確認が不十分で保育園の敷地内で雨樋にドアミラー(サイドミラー)をぶつけてしまい、雨樋には傷がつき、ドアミラーは壊れてしまった。

 ドアミラーは電気コード一本でブラブラしている状態になってしまい、とりあえず、ガムテープで固定して応急処置を施したのだが、交換費用がどれほどかかるのか改めてググると取り付け料など含め数万円はかかる、などという話も出てきて、頭を抱えてしまった。車のパーツ取り換えなど自分でやったことはないのだが、ブレーキやエンジンまわりなど、車の基本機能でない部分であり、自分でも出来るのではないか、とさらにググると、もしかしたらできるんかも、と思える情報も出てきて、まずは中古でドアミラーだけを買って、もし自分で出来なければ、業者に取付だけ依頼すればいいや、と思って、注文して、昨日、モノが届いたのだった。

 サクシード用なのにプロボックス用のだったため、密かに適合しているか、色があっているか心配していたが、型番などは全く同じで、問題なさそうだった。車種は違うが、こういう部分は共有しているようだ。

 車両保険には入っていないので、こういうのは保険適用にならないため、自分でなんとかしなくてはならないのだが、このように他人の所有物にぶつけてしまったのは初めてかも知れない。今まで一応、自動車では無事故無検挙を続けてきたのだが、これでその記録が途絶えたということになってしまいそうだ(泣。

 以下、交換時の様子をざっと置いておきます。詳しい人なら、これぐらいなんてことはないのだろうけど、当方、車の素人であり、ナットを外すためにドアの内カバーをこじ開けるのにちょっと時間がかかり、トータルで30分ぐらいはかかってしまった。でも、これぐらいなら何とかなる、ということで。

1)ガムテで応急処置を施した【サクシード・ドアミラー】
1)ガムテで応急処置を施した【サクシード・ドアミラー】
2)内側のカバーを外した【サクシード・ドアミラー】
2)内側のカバーを外した【サクシード・ドアミラー】
3)ナットを外すにはカバーを少しこじ開ける必要あり【サクシード・ドアミラー】
3)ナットを外すにはカバーを少しこじ開ける必要あり【サクシード・ドアミラー】
4)奥のソケットにコードをはめ込む【サクシード・ドアミラー】
4)奥のソケットにコードをはめ込む【サクシード・ドアミラー】
5)同じ型番【サクシード・ドアミラー】
5)同じ型番【サクシード・ドアミラー】
6)カバーを元に戻す【サクシード・ドアミラー】
6)カバーを元に戻す【サクシード・ドアミラー】
7)取り付け完了【サクシード・ドアミラー】
7)取り付け完了【サクシード・ドアミラー】

環状交差点「ラウンドアバウト」について ~日本でラウンドアバウトは普及するか~

 ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなど、ヨーロッパの自転車レースを好んで見ていた時期がある。その時にしょっちゅう出てきたのが、ラウンドアバウト交差点。自転車レースでは道路を封鎖して対向車線側も通れるようになるので、集団が左右二手に分かれてラウンドアバウトを流れるように通り過ぎる様子はなかなかな見もので、あれを見る度、ああヨーロッパの道はいいなぁ、と思ったりしていたのだった。

 日本でもラウンドアバウトの普及が始まりだしたところで、少しずつ設置が進められている。私も国内で小さなラウンドアバウトに遭遇したことがあり、最初は戸惑ったが、特に問題なく通過できた。慣れない人が遭遇したとしても、十分に減速し、回る方向さえ間違えなければ、まず事故は起こらないだろうと思う。

 さて、今回、ヨーロッパでレンタカーで動いてみてまず感じたのは、ラウンドアバウトの多さだった。街中でも郊外でも、多くの交差点がラウンドアバウトになっていて、次から次へと遭遇する、という印象で、当初は慣れるかどうか心配していたが、嫌でも慣れることになる。一時停止の必要はないが、減速せざるを得ないので、スピードが出たまま出会い頭に事故になる危険性は低く、車が来るわけでもないのに信号待ちしなくてはならない場合もある通常の交差点と比べるとほとんど待つ必要がなく、なるほど効率のよいシステムだと思えるようになる。

 一般的なラウンドアバウトの説明やメリット・デメリットは、例えば、日本でも開始!環状交差点、ラウンドアバウトの3つのメリットや、新たな道路空間の創造 ~ラウンドアバウト~などを参照してもらうとして、私が感じたことをあげていくと、まずメリットはやはり、無駄な信号待ちがないことで交通の円滑が図られることがあげられる。また、信号機がいらないから一度建設すれば、維持コストもかからず、従って信号利権の温床にもならないし、減速するので事故も減る、などなどいいことずくめに思えるほど。デメリットは先のページでも指摘されているが、交差点に入るタイミングでどの車も必ず減速することになるため、渋滞の源となることや、交差点に通常の十字路以上の敷地が必要となることなどがあげられる。

 今回特に思ったのは、日本で建設する場合、ラウンドアバウト用の敷地の確保が困難なのではないか、ということで、周りが田畑という交差点ならともかく、街中だと交差点に隣接する建物や敷地を削る必要があり、今後大規模に日本の交差点をラウンドアバウトに付け替えていく、というのは、近い将来は実現困難ではないか、と思える。

 私の住む地域のような過疎地域だと、見通しの良い田んぼの真ん中に無駄に信号のある交差点がいくつもあるようなところがあって、そういうところにはどんどん設置していって欲しいところだが、街中の右折レーンすら設けられないような狭い交差点なんかだとちょっと無理だろう。ただ、今後バイパスを建設する際には今すぐは無理だったとしても、将来的にラウンドアバウト化することを考慮に入れて道路設計してほしいと思う。デメリットもあり、日本で導入する場合、そのデメリットは無視し得ないレベルのものとなるが、それでも、全体としてプラスマイナスを考えると、プラスになるように思えるので。

バルセロナ・スペイン広場のラウンドアバウト
バルセロナ・スペイン広場のラウンドアバウト

 写真はバルセロナのスペイン広場の大規模ラウンドアバウト。こういうところでは信号機がついている。この広場を何度か横切ったが、確かに交差点をただ横切りたいだけなのにぐるっと回らなくてはならない、というのは、歩行距離が無駄に増えるので、歩行者的にはデメリットといえるかもしれない。車目線では導入に乗り気になってしまうが、歩行者や自転車目線だとやはり車が主用途のシステムのように見えるってことになるのかも。

ヨーロッパ(スペイン)でレンタカーを借りる時に気をつけること ~MT(マニュアル)車かAT(オートマ)車か~

 今回、スペイン滞在時にレンタカーを借りたので、その時に感じたことなどをメモしておきます。

 旅行前に少し調べておいたのだが、「左ハンドル右側通行」以外にも、以下の様な注意点があることが分かった。

・ヨーロッパではマニュアル車がメインでオートマ車は数が少なく、AT車のレンタル料はMT車の倍近くする。
・ラウンドアバウト(ロータリー交差点)の入り方について、事前によく理解しておく(「左から来る車優先」と覚える)。
・交差点に歩行者専用の信号があり、右折・左折後にその信号が赤になっていたら、停止しなくてはならない。(日本の通常の感覚だと停止せずに進んでしまう)

 他に、旧市街地は道が細いので、通らない方が無難、とか、縦列駐車が多いが、ギリギリに停めてあり、真似が出来るものではないので、やめた方が無難、などなど、注意点は少なくはない。

 私が一番悩んだのは、マニュアル車にするかオートマ車にするか、ということだった。一応、アメリカやギリシャで運転したことはあったが、いずれもオートマ車で、日本で普段使用している車もオートマで、マニュアル車は免許取得後から10年程度は乗っていたが、その後はオートマ車ばかり乗っているので、果たして、どれほど身体が覚えているか、不安だった。一応、近所で軽トラの運転はしたことはあり、普通に運転できていたので、意外にあっさりと乗れてしまうだろうと考えてはいたが、それでも注意点の多い海外での運転であり、また、妻子も乗せることになるので、無難にオートマ車にしたいところだが、倍もお金をとられるのは嫌だなぁ、でも安全も重要だしなぁ、と心は揺れに揺れていたのである(笑)。

 結局、バルセロナで初めて借りた時はオートマ車に、アンダルシアで借りた時はマニュアル車、ということになった。

 バルセロナでは年末年始に当ってしまったため、こちらの希望がほとんど通らず、時間はこちらの希望の数時間後、かつ、インターメディエイト(コンパクトカーのひとつ上)のクラスのマニュアル車しかない、などと言われ、いろんな都合上、仕方なくOKしたのだが、やって来たのはオートマ車だったのだった。なんとアバウトな国民性!

 アンダルシアを回るために訪れたジブラルタルのレンタカー事務所では、オートマ車は一台もない、と言われ、選択の余地なく、マニュアル車となった。一応、バルセロナである程度、ヨーロッパの交通ルールに慣れていて、マニュアル車でもいける、という感触を得ていたし、価格も最初に借りた車の半額以下だったので(エコノミークラスだったこともあるが)、二つ返事でOKした。

 担当者に連れられて地下駐車場に行ったのだが、ここでいきなりエンストをやらかした。エコモード搭載でブレーキベダルから足を離すと自動的にエンジンがかかる仕組みになっていたためだが、念のため、駐車場で一速・二速とバックの練習をしてから地上に出ることにした。

 ある程度リズムが取れるようになったあと、路上へ。幸い、そこは海辺の公園の一角で交通量が少なく、もう少し練習するにはもってこいの場所だった。そこで、同じコースを何度かグルグルと回りながら、3速と4速の練習をしてみて、右手でのギアチェンジを前を見ながらでもスムーズに出来るぐらいにはなり、さらに4速から2速とかでも出来るようになってから、いざ本番へ。

 実際に市街を走り始めると、もう迷ってる余裕すらないので、とにかく前の車にひっついていく(ただし、車間距離を多めにあけて)のに必死で、そのうち、いつの間にか高速に乗れていたのだった。ナビあってこその運転のやり方だったかも。

 私はどちらかというと車の運転はそんなに上手な方ではないと思っていて、さらにそんなに好きなわけでもないと思っているが、オートマとマニュアルなら、マニュアル車の方が運転に集中できるので、条件が許せばマニュアル車に乗りたい派である。なので、マニュアル車の運転にはすぐに慣れることが出来た。私はやらなかったが、出来れば、国内にいるうちに、軽トラでもいいので、知人にマニュアル車を保有している人がいたら、借りて練習しておくとよいと思う。

 実は旅行直前に右ハンドルの外車のマニュアル車を10分とか1時間とか、最短時間でレンタルして練習しようと、何箇所か当たってみたのだが、関西ではそういうのをやっているところは見つからなかった。羽田や成田近くなら見つかるかもしれない。

 今回、たまたま練習する場所があったからよかったが、市街地にあるレンタカーオフィスとかだと練習する場所もなくいきなり交通量の多い道を走らなくてはならなくなる可能性がある。なので、マニュアル車の運転に不安のある人は、あえて郊外で借りるとかの工夫が必要かもしれない。空港で借りれるのであれば、練習場所には困らない可能性が高そうなので、空港で借りてしまうのも手だろう。

 あと、バルセロナではホテルを通じて、借りることにしたため、いきなり市街地でぶっつけ本番でスタートすることになった。ただ、バルセロナの道は、事前に通る道をストリートビューで見ておいたし、通る道を覚えるぐらいにナビで確認しておいたので、道を間違えることなく、行きたい方向に一発で行くことが出来た。今回、妻子連れであったので、ここまでやったが、自分一人の旅行だったら、多分しなかったと思う。でも、準備しておいてやはりよかったと思った。

 ナビは手持ちのNexus5に事前に入れておいたSygicというアプリを使った。これはオフライン状態でも使えるので、おすすめ。実際、私は現地で格安SIMを買ったものの、途中で使えなくなってしまったため、Sygicのオフライン機能に助けられた。多少容量は取るが海外で運転する場合、入れておいて損はないだろう。Googleナビも併用したが、Sygicの方が優秀。無料のだと7日ほどで音声案内が使えなくなり、アンダルシアでは音声なしで使ったが、確か20ドル程度だったので、購入してもよかったと思っている。音声はやはりあった方が助かる。実際、高速道路のラウンドアバウト気味の分岐で「キープ・レフト・・・キープ・レフト・・・ターン・ライト」とか言うてくれたので間違わずにすんだ。実際、アンダルシアでは数回、高速の分岐で道を間違えたので、途中からでも有料で購入すべきだったと反省した。

 道を間違えたのは、もう一つ原因があり、方向を示す街の名前をちゃんと覚えておかなかったためだった。自分の目指す街のさらに先にある街のことまで考える余裕がなかったのだが、これを覚えておけば、時間(と燃料代)を無駄にロスすることはなかっただろう。夜になっているのに行きたい方向と逆の方向に進んでいて、山の中であるため、全然降り口が見つからない時のむなしい気持ちは体験したものでないと分からないと思う。

 今回、クラクション鳴らされても、安全運転で行くぞ、と自分に言い聞かせて運転していたが、実際に数回ほど鳴らされた。そのうち、半分は料金所。どうも料金所では気軽に鳴らす文化があるようなので、あまり気にしなくて良いと思う。

 アンダルシア地方の街で旧市街は走らないほうが無難とあったが、行ってみて改めてそう思った。タクシーでもドアミラーをしまいつつギリギリで通過するような場所があった。直角カーブの場所など、車幅の感覚が分かってないと曲がりきれなくなって立ち往生してしまうかもしれない。

 日本との違いで言えば、海外はやはり多少感覚が違うようで、方向指示器と反対の方に進む車を見かけたし、割とアバウト度が高いように感じた。あと、3車線ある高速道路の真ん中のレーンを50km/h以下でノロノロ走る車が目の前に急に現れた時が今回、一番の危機だった。ブレーキにより車内で飲み物がこぼれてしまったがそれほどの急ブレーキを踏んだ。ただ、危機というとそれぐらいで、今回、ドライブを楽しむ余裕は正直なかったが、事故なく済んだのが何よりで、道を何度も間違えてしんどい思いもしたが、安全第一を心がけた結果だろう。

 事故を恐れるのなら、車に乗らないのが何よりだが、移動手段としての車が持つ特有の良さ、時間に縛られず、好きな時に好きな場所に行ける、というメリットを享受したいのであれば、やはり、あまり怖がりすぎずに海外レンタカーも検討してみるといいのではないかと思う。

2016年1月20日の身辺雑記

 この年末年始は柄にもなく海外旅行に行ってきた。年末年始の海外旅行は人生初。別にこの時期である必要はなかったのだが、嫁さんの都合、というのと、子どもが2歳未満だと航空運賃が安い、というのが動機付けとなり、遠目のところで、あまり今後行くことはなさそうなところ、ということで、スペインとモロッコに一家3人で行ってきた。後に、この遠目、というところがアダとなり、自分にはね返ってくるとは思わなかったが。

 というのは、帰国便はその2歳前の子どもと2人で搭乗したのだが、小さな子どもと飛行機で長距離旅行するのはやはり大変なことでほとんど寝ることが出来なかった。計算すると、スペインで嫁さんと別れたのが14時頃で、帰宅が日本時間で20時は過ぎていたので、時差8時間を差し引くと日本時間で22時~20時の間の22時間ほどを2人で旅したことになる。

 私は機内では基本的には何もせず、ひたすらじっとしている方なのだが、今回、途中乗り継ぎのドーハまでは満員で子どもを脇に寝かせることも出来ず、ほぼずっと膝の上抱っこの状態で6時間を過ごした。やはり2歳近くになると十分に重く、この時点でかなり消耗してしまった。

 乗り継ぎも結構大変で、巨大空港なので、結構な距離を歩く必要があり、汗だくになるほどだった。そして乗り継ぎのセキュリティコントロールで子連れだったので、優先で行けるのかとおもいきや、空港職員に聞くと「通常の並べ」とつれない返事が。深夜だったが、ちょっともう途方に暮れるほどの長蛇の列が出来ていて、仕方なくしばらく並んでいたのだが、多分インド系の世話焼きなおじさんが子連れの人にお前はあっちの優先で行けるぞ、と声をかけてきて、私にもそう言ってきたので、先に向かった人の様子を見てるとあっさりと通れていたので、私も挑戦してみると通れたのだった。こういうのは割りとアバウトなので、余裕がない場合は厚かましく出るに限る。

 乗り継ぎ時間は2時間と十分ではあるが、決して余裕のある時間ではない。この間にオムツ替えや食事を食べさせるなど、なかなかすることが多い。ちなみにオムツはこの時のために使わないでおいたラス一の日本製のオムツを使ったのだった。ただ、印象として、外国製紙オムツが特に粗悪だとは思わなかったし、こちらがオムツ交換をサボらなければ、ほとんど漏れることはなかった。

 などやってるうちに、搭乗時間が近づいてきているのに気づき、慌てて荷物をまとめて、搭乗ゲートへ向かう。大きな空港なので、少し迷う。途中エレベータに乗らないといけない、というのが落とし穴だった。そしてゲートに到着した。今回の旅行ではなぜか日本人旅行者に会うことがあまりなく、むしろ韓国や中国の観光客ばかりに遭遇したのはどうしたわけか、と不思議だったのだが、さすがに日本行きの便だけあって、日本人だらけで、やはりどこにでもいると言われる日本人だけあり、久々にまとまった日本人の集団を見て、お~やっと帰れるんやな~、とちょっとホッとした。

 今回訪問したモロッコとスペインでは本当に老若男女問わず子ども好きで、歩いていたり座っているだけで声をかけてきたり、笑いかけたり、頭を撫でたり、ほっぺたをつんとしたりしてきて、親愛の情を示す人たちが多く、子連れ旅行特有のしんどさはあったが、そういう面ではむしろ思いがけない一面を見られたように思う。特にモロッコでは、強面の警備員も子どもを見るとほぼ例外なくニヤケ始めてあやしてきたし、スペインでもモロッコほどではないが、子連れだからと嫌な目に遭うことはほとんどなかったと思う。

 そんな感覚で日本人集団の中に入ることになったのだが、何かちょっと違う感じがあるのを認めないわけにいかなかった。曰く言いがたい感じなのだが、言葉にしてみるなら、「知らない人にはやたらと話しかけたりするものではない」という社会的規範が日本人の間にはあって、モロッコやスペインのように子どもに何らかの親愛の情を示す人はほとんどいないのだった。というか、むしろ、そいつを黙らせろ的な悪意ある空気を、実際はそんなものはなかったのかもしれないが、感じてしまうほどのちょっとした、というか、それまでと比較すると「強烈な」といってもいい違和感があった。団体旅行客が多かったから、というのもあるが、たまたま話しかけた個人旅行客にもなぜか無視されて、なんだか心が折れ始めたのだった。今思うに、空港というところは日本人に限らず、そんなもののような気もするが、その時は蓄積した疲れもあって、正常な判断力を喪失していたのかもしれない。

 そんな中で列が動き始め、私は優先で行けたはずなのであるが、なんだか見えないガードがあるように勝手に感じてしまって、最後まで搭乗しないことにした。なぜそんな気後れを感じたのか、といえば、それまでとの落差が大きかったからだと思う。

 日本行きの機内は十分に空席があり、これはラッキーと、さっそく客室乗務員に席の移動許可を願い出た。2歳未満の子連れはだいたい一番前の席を割り当てられるようなのだが、ここだと席と席の間の肘置きがあげられず、子どもをイスに寝かしつけることができないからだった。

 しかし、移動した先は4人席ですでに一人、私と同年輩の男性が座っている。あまり考えなしにそこに移動したのだが、この男性はいろんな所作動作からかなりなコダワリ派であることが見えてきて、子どもを寝かせるには自分の分も含め、4列席のうち3列分をどうしても専有することになるのだが、その方には自分の横の席の「優先権」を譲ってくれる気配がないのであった。これは戦略を誤ったな、と思ったが、もう後の祭りで、離陸して、一定の時間が経っていて、それぞれ寝る体制に入り始めており、このタイミングで移動するのはなかなかに簡単ではない状況だ。

 困ったなーと思っていると、近くの2人席の男性が席を替わってくれた。後に分かったことだが、顔は日本人顔だったが、日系ブラジル人の方のようだった。画面の字幕がポルトガル語だったし、たまたまパスポートコントロールで再度会った時に外国人用の列に並ばれたので、それと分かった。

 私が困っているのを遠目に見てる人がちらほらいて、そういうのもちょっと堪えた気がする。目が合うと慌ててそらす人もいたりして、悪意うずまく中で生きるカフカの主人公にでもなった気分だった。なんと日本人は冷たい人たちなのか。日本を嫌いになって帰国する留学生がたくさんいるが、こんな感覚を毎日のように味わっていたのだろう。

 いやいや、それは言いがかりってものだろう。決して、日本人は冷たいわけではない。しかし、こういう時に遠巻きに見るだけで関り合いにはならないようにするように、いろんな契機を経て、多くの日本人がなってしまった結果なのだと思う。実際、逆の立場だったら、積極的に動けたかどうか、正直、心許ない。

 今思うに、真ん中の4人席を一人でいる人に声をかけて、もしくは日本流にするなら、客室乗務員に声をかけてもらって、最初から4人席を一人で専有すればよかった。それぐらいの空席はいくらも空いていたので。しかし、疲労がピークで考えが至らず、いっときは子どもの落下防止のために地べたで寝ようとしてしまって、注意されたりもしたのだった。

 そんなわけで無駄に消耗して、帰国後はストレスからか、猛烈な下痢と胃の激痛に見舞われたのだった。体重を測ったら、かなり痩せていた学生時代でもこんな数字は見たことないで、というような数字を記録していて、ビビった。今回の旅行では融通を利かせるために大きなスーツケースでなく、小さめのキャリーケースと複数の肩掛けカバンでしのいだため、両肩に食い込むほど荷物が重く、これは何の苦行なのか、というような長距離歩行を何度かしたりして、心身ともに疲労した。今はとにかく重い荷物を引きずっていた記憶ばかりが思い出されるが、時間が経てばこれもまたよい思い出となるだろう……なるかな……なってほしいけどならんかもな……いろいろあったし……。

 というわけで、別の厄介事が現在進行形で動いており、考え事をしていたためか、今日は子どもの保育園で必要な荷物を忘れてくるとか、さらに仕事に遅れるので早く取りに行かなくちゃ、と急いだからでもないが、保育園の敷地内で車のドアミラーをこすってしまって壊してしまうとか、散々だった。

 というわけで胃痛が再発中なのであります。

 慢性胃痛にはストレスの少ない規則正しい生活がよい、というわけで、そろそろ寝ます。