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環状交差点「ラウンドアバウト」について ~日本でラウンドアバウトは普及するか~

 ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなど、ヨーロッパの自転車レースを好んで見ていた時期がある。その時にしょっちゅう出てきたのが、ラウンドアバウト交差点。自転車レースでは道路を封鎖して対向車線側も通れるようになるので、集団が左右二手に分かれてラウンドアバウトを流れるように通り過ぎる様子はなかなかな見もので、あれを見る度、ああヨーロッパの道はいいなぁ、と思ったりしていたのだった。

 日本でもラウンドアバウトの普及が始まりだしたところで、少しずつ設置が進められている。私も国内で小さなラウンドアバウトに遭遇したことがあり、最初は戸惑ったが、特に問題なく通過できた。慣れない人が遭遇したとしても、十分に減速し、回る方向さえ間違えなければ、まず事故は起こらないだろうと思う。

 さて、今回、ヨーロッパでレンタカーで動いてみてまず感じたのは、ラウンドアバウトの多さだった。街中でも郊外でも、多くの交差点がラウンドアバウトになっていて、次から次へと遭遇する、という印象で、当初は慣れるかどうか心配していたが、嫌でも慣れることになる。一時停止の必要はないが、減速せざるを得ないので、スピードが出たまま出会い頭に事故になる危険性は低く、車が来るわけでもないのに信号待ちしなくてはならない場合もある通常の交差点と比べるとほとんど待つ必要がなく、なるほど効率のよいシステムだと思えるようになる。

 一般的なラウンドアバウトの説明やメリット・デメリットは、例えば、日本でも開始!環状交差点、ラウンドアバウトの3つのメリットや、新たな道路空間の創造 ~ラウンドアバウト~などを参照してもらうとして、私が感じたことをあげていくと、まずメリットはやはり、無駄な信号待ちがないことで交通の円滑が図られることがあげられる。また、信号機がいらないから一度建設すれば、維持コストもかからず、従って信号利権の温床にもならないし、減速するので事故も減る、などなどいいことずくめに思えるほど。デメリットは先のページでも指摘されているが、交差点に入るタイミングでどの車も必ず減速することになるため、渋滞の源となることや、交差点に通常の十字路以上の敷地が必要となることなどがあげられる。

 今回特に思ったのは、日本で建設する場合、ラウンドアバウト用の敷地の確保が困難なのではないか、ということで、周りが田畑という交差点ならともかく、街中だと交差点に隣接する建物や敷地を削る必要があり、今後大規模に日本の交差点をラウンドアバウトに付け替えていく、というのは、近い将来は実現困難ではないか、と思える。

 私の住む地域のような過疎地域だと、見通しの良い田んぼの真ん中に無駄に信号のある交差点がいくつもあるようなところがあって、そういうところにはどんどん設置していって欲しいところだが、街中の右折レーンすら設けられないような狭い交差点なんかだとちょっと無理だろう。ただ、今後バイパスを建設する際には今すぐは無理だったとしても、将来的にラウンドアバウト化することを考慮に入れて道路設計してほしいと思う。デメリットもあり、日本で導入する場合、そのデメリットは無視し得ないレベルのものとなるが、それでも、全体としてプラスマイナスを考えると、プラスになるように思えるので。

バルセロナ・スペイン広場のラウンドアバウト
バルセロナ・スペイン広場のラウンドアバウト

 写真はバルセロナのスペイン広場の大規模ラウンドアバウト。こういうところでは信号機がついている。この広場を何度か横切ったが、確かに交差点をただ横切りたいだけなのにぐるっと回らなくてはならない、というのは、歩行距離が無駄に増えるので、歩行者的にはデメリットといえるかもしれない。車目線では導入に乗り気になってしまうが、歩行者や自転車目線だとやはり車が主用途のシステムのように見えるってことになるのかも。