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1971年滋賀県大津市生まれ。大阪外国語大学ロシア語科除籍。IT業界で働きつつ、2006年よりチェルノブイリ被災地で「ナロジチ再生・菜の花プロジェクト」、被災者互助団体「ゼムリャキ」を取材。

チェルノブイリの日に実施された日本関連の現地イベント2(ウクライナにおける日本年で桜を2500本植樹)

 次はウクライナの私もよく通っていたジトーミル州の記事で、ジトーミル中心部に日本の桜が植樹されましたという記事。

 2017年は日本とウクライナが外交関係を持って25周年に当たり「ウクライナにおける日本年」として、20都市に2500本の桜を植樹する計画があるとのこと。詳細は桜2500本キャンペーンを参照。

 また、日本はジトーミルに専門的な医療機器の支援を継続しますという記事も同様にジトーミル関連の記事で、チェルノブイリ救援・中部を通して、特にチェルノブイリ事故で最も被害の大きかったナロジチ地区に数百万ドルの支援をしてきたことが述べられている。

 ナロジチ地区には震災後は一度も行っていないが、その後、どうなっているのか、ちょっと気にはなっているのだが、なかなか……。

チェルノブイリの日に実施された日本関連の現地イベント1(ひろしま・祈りの石)

 ニュースチェックしてたら、いくつか日本関連のイベントが報道されていたので、ご紹介しておきます。

 まずはベラルーシのニュースサイトのミンスク諸民族友好公園でチェルノブイリの犠牲者の碑と広島平和の石に献花という記事。

 4月26日、ミンスクのこの公園に事故処理作業者など2000人以上が集まり、犠牲者を追悼したとのことで、その中にはウクライナ、ロシア、日本の大使館関係者も来ていたとのこと。ベラルーシはロシアとの関係がウクライナほどにはこじれていないので、ここではロシアとウクライナの関係者が同じイベントに参加することが可能なのだろう。

 こちらの記事によると、この広島平和の石は2007年10月19日にこの公園に置かれたもので、広島から運ばれたものとのこと。この石自体は原爆投下時に路面電車の敷石として使われていたもので、いわば「被爆石」といってよいものであり、観音像が刻まれていて、すでに100カ国以上に送られており、さらに石の放射線が健康に影響がないレベルであることを示す証明書も添えられているとのこと。

 この石について、ググるとひろしま・祈りの石の会というNGOのページが見つかった。以下にその「設立の主旨と目的」を引用しておきます。

広島電鉄の敷石を払い下げてもらい、その200個あまりに平和を祈る「観音像」とFROM HIROSHIMAという文字を掘り込む手作業を行った市民は、この石を世界共通の「平和希求のシンボル/メッセージ」として世界の国々に受け取って頂けないか、と考えました。この思いが1991年の「ひろしま・祈りの石の会」の設立につながりました。ひろしま・祈りの石 (Stone for Peace) を持つことにより、それぞれの国で平和の尊さを再考してほしい、世界に平和の輪が広がってほしい、という強い思いは多くの人々の賛同を得ています。1991年にペルー大統領に最初に石を贈呈して以来、贈呈国は100カ国を超えました。今後も世界の平和に向けて祈りの石を通じたメッセージを発信し続けます。

2017年時点の世界の脱原発動向まとめ

 世界のエネルギー動向と題した、現在の脱原発動向をまとめた記事があったので、多少色をつけながらまとめてみた。

 このBellonaというサイトは本部がノルウェーのオスロにあるNGOにより運営されているようで、ロシアにもサンクトペテルブルクとムルマンスクに支部があるようだ。ロシア語以外にも英語とノルウェー語で情報発信がなされている。


 産業としての原発のピークは2006年で、世界全体の原発のシェアは2016年には10%となり、その20年前の17.6%から大幅に落ち込んだ。

スペインの原発

 スペインでの原発開発は世界的にも最初期からなされており、フランコ独裁期の1940年代にすでに始められている。1964年から1968年にかけて加圧水型(PWR)、沸騰水型(BWR)、ガス冷却炉(GCR)の3種類で建設が始まり、それぞれ1969年から1972年にかけて運転が開始された。しかし、フランコの死後から失速し、1979年のスリーマイル島事故を受けて、1983年以降、原発建設計画は大幅に縮小された。1988年以降、新設はなされていない。現在、PWR6基、BWR1基が稼働中で原発依存度は約20%。

イタリアの原発

 イタリアには4基の原発があったが、チェルノブイリ事故を受け、1987年の国民投票で原子力の平和利用を拒絶することが決まり、1990年にイタリアの全原発が停止した。2000年代になって、ベルルスコーニ政権は再び原発を建設しようとしたが、福島第一原発事故の発生を受け、2011年6月に原子力利用再開の是非を問う国民投票が実施され、94%が反対票を投じ、原発再開に国民はノーを突きつけた。

オーストリアの原発

 1970年代に6基の原発建設計画があったが、1978年に国民投票が実施され、賛成49.5%、反対50.5%という僅差で反原発側が勝利し、開発計画は頓挫した。当時、完成していたツヴェンテンドルフ原発は稼働することなく閉鎖され、「世界一安全な原発」と言われている。また、オーストリアは他国からの原発による電力の輸入も拒絶している。

ドイツの原発

 現在、ドイツに17基の原発があるが、一部はすでに停止している。2022年までに原発をやめ、再生可能エネルギーへの転換をはかる予定。このために3兆ユーロが必要と見積もられているが、2022年には最後の3基が閉鎖される予定で変更予定はない。

ベルギーの原発

 ベルギーでは現在、2箇所で7基の原子炉が稼働中。1993年には原発依存度が60%に達し、フランスに次ぐ割合となった。1999年、連立政権下で原発の段階的廃止が決定され、新設が禁止となり、耐用年数は40年とされた。その後、この決定の見直しが図られたが、オランダ語圏とフランス語圏の対立による政治の空白で法制化できなかった。福島第一原発事故後の連立政権で10年延長が予定されていたドール1、2号機を2015年までに閉鎖し、チアンジュ1号機のみ10年間運転延長することを決定した。2025年までに全廃の予定。

スウェーデンの原発

 ここ数年、スウェーデンの原発依存度は40%程度で3箇所で10基の原発が稼働している。1979年のスリーマイル事故を受け、1980年に国民投票で段階的廃止を決定し、1999年と2005年にバーセベック原発で操業が停止され、2018-2020年にリングハルス原発で期限前の停止が予定されている。2017年中頃にもオスカーシャム原発の1基が廃炉予定で原発全廃に近づいている。

 (※宮腰注:ここには書かれていないが、他の情報源を見ると、2010年までに全廃予定であったが、今も稼働しており、スウェーデンでは原発全廃は事実上撤回されており、既存の原子炉10基をリプレースで建設することが許可される可能性がある、という記事が出ている。Financial TimesのBoost to nuclear energy as Sweden agrees to build more reactorsなど参照。)

スイスの原発

 スイスでは現在5基の原発が稼働中で、原発依存度は約40%である。福島第一原発事故後に段階的脱原発を目指す「エネルギー戦略2050」が策定され、今後10数年で全廃される予定で、現在のところ、2018年までに老朽原発3基が、2024年に1基、2029年に最後の1基が廃炉予定である。

 (※宮腰注。既存の原発の運転期間について、2029年全廃とする案は2016年の国民投票で否決された。また、2017年5月21日(つまり今月)、全廃の方針に対し、改めて国民投票が実施される。詳しくはこちらを参照)

フランスの原発

 原発大国フランスは現在、58基が稼働中であるが、老朽化に伴う事故の増加や再生可能エネルギーの普及などで原発が政治的論争を呼ぶ話題となっている。

 大統領候補だったメランション氏は原発を全廃し、2050年までにすべての発電を再生可能エネルギーで賄うと主張し、アモン氏も同様の主張を述べていた。

 全廃した場合、リサーチによると、その解体コスト、代替電力への投資、金銭的保障含め、2170億ユーロのコストがかかると見られている。

 (宮腰注:フランス最古のフェッセンアイム原発の閉鎖延期が2017年4月6日に決まり、原発論戦も盛んになっているようで、こちらによると、ルペン氏は「近代化、安全化」との条件付きながらフェッセンアイム原発の維持を唱えるが、マクロン氏は廃止を訴え、さらに原発依存率50%削減を公約にしている。)

台湾の原発

 台湾では現在、3基の原発が稼働中で原発依存度は約16%。さらに2基の建設計画あったが、コスト上昇や大規模な抗議行動もあり、2014年に中止が決まった。

 2016年発足の蔡英文政権は2025年全廃を決め、期間延長もしないことが決まった。2018年から停止される。

ベトナムの原発

 2009年、ロシアと日本が原発建設を受注したが、福島第一原発事故後の建設コスト増大、および、他のエネルギー資源が安価になったこともあり、2016年白紙撤回された。


 改めてまとめてみると、スリーマイルきっかけの国(例:スウェーデン)もあれば、チェルノブイリや福島第一きっかけの国もあり、各国いろいろであるが、その中でも異彩を話すのがオーストリアで、スリーマイルの数ヶ月前に国民投票で脱原発が決まった、というのは、そういう国があるのだな、と感慨深い。

 その経緯についてはオーストリアの原子力への「ノー」~なぜ脱原発が可能だったのかに詳しい。

 世界で最も原発依存度の高いフランスでは大統領選の結果いかんによっては原発政策に大きな変化が生まれる可能性があり、注目したいところ。

国連で4月26日が「国際チェルノブイリ事故記念日」に制定された

 こちらの国連のページより。

 2016年12月8日、国連総会は、4月26日を国際チェルノブイリ事故記念日(International Chernobyl Disaster Remembrance Day)とする決議を採択した。総会は「チェルノブイリ事故から30年が経過したが、未だその長期に亘る重大な影響が残っていること、また事故の影響を受けた地域コミュニティや地方の継続的なニーズ」を認識し、「すべての加盟国、関係機関に国連や他の国際機関、そして市民社会がその日を忘れないことを願う」と述べた。

 この決議がなされることで、特に被災者に対しどのような利点があるのか定かではないが、風化に抗うためには、いろんな形で関心を持続する努力が必要なので、少なくとも悪いことではないと思う次第。

 私はなんだかんだゆうても英語が外国語では一番理解しやすい言語なので、英語のページを見たのだが、意味がよく掴めなかったので、ロシア語サイトを見たところ、なんとなく理解できたのだった。国連のウェブサイトでは国連公用語で複数の言語で同じ内容の文書が読めるので、ある言語でイミフでも、他の言語で見ると分かる場合がありそう。

 国連公用語は現在、「英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語」の6つなのだが、未来永劫そうだとは言えないだろう。今後、国連改革が進むだろうし、長い目で見ると増減はあるのかも。減ることは当面ないだろうが、追加されるとしたら、何語だろう。日本語ではなさそうではあるが。

チェルノブイリの日に行われたデモ(ロシア編)グリーンピースが水上原子力発電所に抗議

 こちらによると、グリーンピース・ロシアの抗議活動がサンクトペテルブルクのネヴァ河で行われた、とのことで、記事内の写真を見ると「水上のチェルノブイリに反対!」という横断幕が見える。サンクトペテルブルクでは「アカデミック・ロモノソフ」という水上原子力発電所が建設されており、ロシアのプロパガンダサイトのスプートニクの世界初の水上原発が2019年極東にという日本語記事によると、2019年に北極圏のチュクチ半島にあるロシア最北端の街ペヴェクで稼働を予定しているようだ。ここは対岸がすぐアラスカなんだが、アメリカは何らかの抗議の声を上げるのかどうか。

 あと、サンクトの割りとど真ん中でこうした施設が建設されている、というのはちょっと驚きだが、試運転もここでやるつもりなんだろうか。Wikipediaのアカデミック・ロモノソフの項を見ると、契約不履行のための移転や会社の破綻などでサンクトに今、置かざるを得ない状況になっているようだが。

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