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「育休って何?」な零細自営業者が育休について思っていること

 自民 宮崎謙介氏 女性関係報道で議員辞職願提出というニュースが出ていた。

衆議院京都3区選出の自民党の宮崎謙介衆議院議員は、男性の育児参加を促したいとして、国会議員である妻の出産に合わせて、今の国会中に育児のための休暇を取る考えを示していましたが、今週発売された週刊文春で、妻の出産直前に、ほかの女性と不適切な関係を持っていたと報じられました。

(NHKニュース)

 私は零細自営業者であるが、育休などは当然なく、休んだらその分、おまんまの食い上げである。そういうのは所与の条件として、この立場を選択していて、その代わりに仕事を選ぶ自由、仕事がない期間に怯える自由などを享受している。

 ただ、自営業者の育休という問題がクローズアップされたことはよかったとは思う。この議員に同情の余地はないけど。

 こちらの記事に以下のような自民党谷垣幹事長の発言が出ている。

「自営業者には育休の制度はなく、育児休業しようと思ったら、いくらでも本人の判断でできる。基本は国会議員も同じだ」と語った。宮崎氏は国会議員の育休を定めるよう衆議院規則を見直すことを目指しているが、谷垣氏は制度化に慎重な考えを示した。

 これは正論ではあるが、日本の現実の中で育休が取れている自営業者などほとんど皆無に近いだろう。十分とはいえない育児環境でそれぞれが使える手があれば可能な限り使いながらなんとかやりくりしているのが現状だろう。そして、そうした中でどのように育児環境を改善できるかを検討し、実行していくのが政治家の役割のはずだ。一応、氏は抜かりなく「育休を取りやすい社会をつくるために運動するのは意義がある」とも述べてはいるが、及び腰であるという印象は拭えない。

 ただ、勤め人の育休取得率などみても、特に男性の取得率が1~2%ということになっていて、いくら制度を整えても、なかなか取れていない実態がある。こちらの厚労省による「事業所の育児休業取得者割合」(PDF)を見ると、業種により結構異なっていて、建設業などは男が5.19%と比較的高めだが、女性は69.6%と全事業所平均の76.3%を下回っているとか(育児休業者の実に4割が男性!)、医療・福祉はさすがに男女とも高め(男3.22%、女89.2%)とか、興味深い実態が垣間見れる。数パーセントで高めってどうなん、とは思うが。

 もう一つ、興味深いのは、事業所規模が5~29人の会社での女性の育休取得率が低く、4割は取得出来ていない実態があり(30人以上の事業所規模だと9割が取得できている)、中小企業特有の「取り難さ」があることがうかがえる。個人にかかる負担が大きく、なかなか代替が利かないためだと推察されるが、育休を取得すると職場復帰できないのではないか、と思わせる雰囲気が会社にあって、職を失う不安から育児休暇取得に踏み切れない場合もあるのではないかと思う。

 制度があるのに、取らない方がおかしい、というのは正論だが、このご時世、今の会社を去って、さらによい待遇で再就職できる見込みは少ないと多くの人が思ってしまっていて、なんとなくそうした空気に抗えないのだとしたら、本当に日本は物質的には豊かになったが、全然幸せではない社会になってしまったものだと慨嘆したくもなってくる。

 代替が利かないため、というのも、人手が足らなくて、という場合も多いだろうが、別に中小企業における社員の代替不可能性という問題もあって、ある機械や仕組みがその人でないと動かせない状態になっている、なんてことがあり、マニュアルなども作られることはなく、その結果、その人は育休を含めた長期休暇は取れない代わりに、会社の中で必要な人材という立場を守ることが出来る、という按配。これは処世術の一種だが、非生産的で非効率的であり、こういうのを許容する社風のあるところはさぞや風通しが悪いのではないかと思う。

 個人的には今の日本には雇用の流動化がもっと必要なのではないかと思っているのだが、そういう時代はよほど日本の経済状況が急激に悪化しない限りはやってこないのではないかと思わせる。今の就活には「うちでは採用しなかったが今後のご活躍をお祈りします」と最後に締められる不採用通知を意味する「お祈りメール」というのがあるが、実際、別の会社に行ったほうが間違いなく活躍できる人材が不適材不適所で燻っているという例が多いのではないだろうか。

 もっとも、こういうの根っこには「将来不安」というやつがあるわけで、特に今は「未来は今よりよくなる」という希望がまるでなく、衰退社会で生き抜いていかないといけないので、余計にしがみつく結果となっているようにも思える。

 私はビルの谷間でダンボールを敷いて寝たこともあって、まあ一人なんとか生きていくぐらいはなんとかなるやろで生きてきたが、ここに来て、育児をするという思ってもみなかった人生航路に行きつき、さすがに身を持って、育児にまつわるエトセトラに関心をもたざるを得なくなった。なんでこんな「孤育て」状態に私を含めた多くの親世代が陥いることになってしまったんだろうと常日頃から疑問なのだが、このような時代が到来するのがわかっていたのに社会システムを変更しようとしてこなかった先行世代を恨む気持ちを持ちつつも、誰かのせいにしても仕方がないので、いつもの結論だが、それぞれがそれぞれの持場でなんとかかんとかしのいでいくしかないんだろうな、と思いつつ……。

 私の場合、今行ってるところに「子連れ出勤認めて~」と契約ごとに要望を出しているが、聞き入れられる見込みはほぼない。ただ、保育園の都合で短時間勤務が認められ、今、週5日6時間労働という形で働いている。こちらの要望を100%認めてもらうことはできないが、言ってみるだけは言ってみる価値はあって、あまり恐れずに言うてみてはどうなんだろうか、と思うのだが、空気を読む技術が日本人は無駄に高いので、なかなか言い出せないものなのだろうか。

 空気を読まないようにしてたら、本当に空気が読めなくなってきたのが私なのだが、いいんだか悪いんだか。ちょっとした弊害はあるとは思うが、自分なりに気を配る注意をしていれば、なんとかなると思います(無責任モード)。