チェルノブイリのクリスマスツリーを人々は買うのか

 チェルカーシ州の地元テレビ局がチェルノブイリ立入禁止区域内から持ち込まれたクリスマスツリーを事前に説明した上でも人々は買うか、社会実験を実施、という記事がこちらに出ていた。

 ツリーの販売店から100mの路上でジャーナリスト扮する若者が市価の半額か1/3の価格で販売すると、プリピャチから持ち込んだツリーだと説明しても、買おうとする人はやはりいた。ただし、小さい子連れの母親は買おうとしなかったし、家に放射能を持ち込みたくないとして、買わない人も当然ながらいた

 日本でやったらどうなるか、恐らくは似たような結果になりそうな気がするがどうだろう。放射能の忌避意識がわかって興味深い結果が得られると思うのだが。日本だとクリスマスツリーは一般的ではないので、門松でやることになるか。ただ、結果は年齢層や家に子供がいるかどうかによっても変わるだろうし、もしかしたら、地域によっても変わるかもしれない。放射能汚染地域に近いほど住民の放射能リテラシーは上がる傾向があるので。

 ちなみにこのジャーナリスト氏は自ら警察を呼んだが、40分経過しても警察は現場には来なかった、とのこと。というわけで、記事はこの社会実験自体よりもこうした形で違法に販売が出来てしまうこと自体に注意喚起している。

 日本では一般商品をこういう形でゲリラ的に路上販売している現場に出くわすことはほとんどないが、ウクライナでは路上での販売はよく見かけるので、事実上チェックは追いつかず、そうした商品は実際に流通している、と現地の人が言っているのを耳にすることがある。

 福島原発事故後、流通している言説にウクライナでは出来ているのに「先進国の」日本でなぜ出来ないのか、というのがあるが、自称ウクライナ通の私としては違和感を抱かざるをえない。ウクライナでは立派な法律があっても実情は全然追いついていないので。ともかくこうした社会的状況の違いは大変大きい、ということを折に触れて言っていきたいと思っているところなのだが、なかなか伝えるのが難しい……。

 ちなみにウクライナやロシアなどの正教圏ではクリスマスは新年あけた1月7日に祝われます。なので、クリスマスツリーは「新年のツリー」と呼ばれます。12月25日は当地では特に祝われず、普通の日となっています。


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