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「放射能を中和させる方法を発見」という記事について

 ロシアNowというサイトに放射能を中和させる方法を発見という記事が出ていた。ロシア語圏のニュースサイトで話題になっているのかとざっとニュース検索してみたが、出ている様子はなかったので、シャフェエフという名前で類推してшафеев(shafeev)で検索すると、2015年5月に以下のような記事が出ていたことがわかった。

В России ядерные отходы превратят в удобрения(ロシアでは核廃棄物が肥料に変わります)

 Shafeevで検索すると、「素人が知りたい常温核融合」というサイトでShafeev博士のレーザー照射による半減期短縮実験(セシウム137)というエントリーが見つかり、そちらでLaser-induced caesium-137 decayという英語の論文が読めることもわかった。ざっと見てみたが、残念ながら私の文系頭ではよくわからない。

 核変換については各所で研究がなされていて、日本原子力研究開発機構(JAEA)サイトにも「放射性廃棄物の核変換技術への挑戦」というPDFファイルがあり、ざっとナナメ読みしてみたが、「核変換は、様々な国・分野の研究者・技術者の力を結集して、数十年かけて実現する技術」とあり、現時点では実用レベルではないんじゃないかな、と。

 ただ、ロシアは核大国であり、独自技術があったりするので、もしかしたら、なんて期待してしまうが、どうなんでしょうね。

ウクライナの生活の知恵「どのようにして放射能から身を守るか」

 先ほどの記事「チェルノブイリ森林火災の原因(続き)」の続きです。

 先ほどの記事の中で「どのようにして放射能から身を守るか」という記述があったので、訳しておきます。何かの折りに役立つかもしれません。役立つような事態にならないことを祈るばかりですが。


  • 外出するときは手持ちの服の中で最も色の薄い服を着てください。そして、帰宅時にはそれをすぐに洗います。帽子をかぶるとなおよいです。
  • 一日に数回、床を水拭きしてください。掃除機は使わない方がいいです。出来るだけ窓を開けないようにし、エアコンも使わないようにしてください。
  • 水を多めに飲んでください。食事中、赤ワインを飲むのもよいでしょう。赤ワインは放射能から人体の細胞を守る効果があります。
  • キノコ、キャベツ、魚、豚肉、人参、ビーツなど、放射能を多く蓄積する傾向のある食物は食べないようにしてください。
  • 放射能防護という観点から目・喉の洗浄を一日に二度行うとさらによいです。目を潤す目薬を差し、薄めた食塩水かソーダ水でうがいをするとよいでしょう。

 もしかしたら、放射能リテラシーの高い方からすると、根拠の薄いように感じられる記述があるかもしれませんが、当地での経験知ではないかと私は思っています。福島事故直後、味噌がいい、という話に対し、横槍を入れる人もいたようですが、味噌を一日に多食することは常識的に考えてありえないわけで、味噌を毎日食べても有害なわけはなく、原爆の被爆者の経験知から来ているものであって、むやみやたらと科学の名で断罪するのでなく、そうした知恵を尊重する態度があってしかるべきではないかと愚考する次第であります。

育児マンガ・吉田戦車「まんが親」

 某ブック**で育児本コーナーを眺めてて、うーん、おっさん向けの本ってなかなかないもんなんやなぁ、と思って、店内をひと通りぐるっと回って、普段は行かない漫画コーナーに行くと、吉田戦車著「まんが親2」というのがあり、面白そうなので、買って読んでみた。

 氏の奥さんは私がファンである伊藤理佐であり、二人の日常が吉田戦車独特の世界観そのままに描かれてて、続きを今後も読み続けることになりそう。ここ数年マンガはほとんど読めてなくて、その存在をうかつにも知らなかったのだが、奥さん側視点の育児マンガ「おかあさんの扉」というのもあるようなので、そちらも読んでいくことになりそう。

 伊藤理佐のマンガは、一言で言うと「下品」ということになってしまうのだが、それだけに収まりきらない、ツボをつく笑いがあって、最初期のを除くとほとんど私的にははずれがない。代表作は「おるちゅばんエビちゅ」ということになるのだろうが、「やっちまったよ一戸建て!!」とかも、とても面白い。余計なお世話だが、このマンガを書かれた当初は独身だったため「一人用一軒家」を建てられたのだが、結婚されて、その後どうなってるんだろうか。

 ちなみに、「えびちゅ」は私の知るウクライナの大学の日本語学科の学生さんも好きでネットで見てたらしく、ワールドワイドに人気があるようで。

 ところで、「まんが親」にはほぼお二人そのままであると思われる東京住まいの漫画家夫妻が出てくるが、放射能の話題が何度か出てくる。原発事故のせいで子供に砂場で遊ばせることが出来ないという件(あとがきによると、公園デビューが済み、砂場遊びも解禁されたとのこと)、また、旅行先の長崎の平和公園でのシーンではこんなセリフが出てくる。

「…東北や関東の食べ物応援したいし、食べてるけどさ…」「東京あたりに住んでる人間がこんなこと言って申し訳ないけど…」「なんかすごく楽…放射能のこと考えなくていいの…」

 対する夫たる人物は、泥酔して帰宅した奥さんが母乳を与えようとした時に以下のようなセリフを言う。

「日頃、放射性物質がどーした基準値がこーしたうるさいくせに!」「その酒乳のほうがよっぽど子供の体に悪いわ!」

 私の子供が生まれたのは約1年前だったが、原発事故当時に妊娠中だった方、子育て中だった方は、それはそれは様々な情報に錯綜され続けたことだろう。そして、今も現在進行形で心配され続けているんだろうと思う。

 その後、様々な実測データは出てきているが、多分、データを示されても、親というのは、子供の安全ということにかけては99%を99.9%に出来るなら、その99.9%を選んでしまう生き物なのであり、それに対し、外から「正しく怖がれ」などと言われても、その態度を翻すことはできないのであろう。

 原発事故から4年目、まだまだ原発事故が収束したとはいえない状況が続いている。そして、福島の農家さんの声も直に聞いたことがあるので、その努力や悔しさは知っているつもりで、応援したい気持ちもある。遠くにいて、出来る事は限られているが、引き続き、関心を持ち続けていきたい。

チェルノブイリのクリスマスツリーを人々は買うのか

 チェルカーシ州の地元テレビ局がチェルノブイリ立入禁止区域内から持ち込まれたクリスマスツリーを事前に説明した上でも人々は買うか、社会実験を実施、という記事がこちらに出ていた。

 ツリーの販売店から100mの路上でジャーナリスト扮する若者が市価の半額か1/3の価格で販売すると、プリピャチから持ち込んだツリーだと説明しても、買おうとする人はやはりいた。ただし、小さい子連れの母親は買おうとしなかったし、家に放射能を持ち込みたくないとして、買わない人も当然ながらいた

 日本でやったらどうなるか、恐らくは似たような結果になりそうな気がするがどうだろう。放射能の忌避意識がわかって興味深い結果が得られると思うのだが。日本だとクリスマスツリーは一般的ではないので、門松でやることになるか。ただ、結果は年齢層や家に子供がいるかどうかによっても変わるだろうし、もしかしたら、地域によっても変わるかもしれない。放射能汚染地域に近いほど住民の放射能リテラシーは上がる傾向があるので。

 ちなみにこのジャーナリスト氏は自ら警察を呼んだが、40分経過しても警察は現場には来なかった、とのこと。というわけで、記事はこの社会実験自体よりもこうした形で違法に販売が出来てしまうこと自体に注意喚起している。

 日本では一般商品をこういう形でゲリラ的に路上販売している現場に出くわすことはほとんどないが、ウクライナでは路上での販売はよく見かけるので、事実上チェックは追いつかず、そうした商品は実際に流通している、と現地の人が言っているのを耳にすることがある。

 福島原発事故後、流通している言説にウクライナでは出来ているのに「先進国の」日本でなぜ出来ないのか、というのがあるが、自称ウクライナ通の私としては違和感を抱かざるをえない。ウクライナでは立派な法律があっても実情は全然追いついていないので。ともかくこうした社会的状況の違いは大変大きい、ということを折に触れて言っていきたいと思っているところなのだが、なかなか伝えるのが難しい……。

 ちなみにウクライナやロシアなどの正教圏ではクリスマスは新年あけた1月7日に祝われます。なので、クリスマスツリーは「新年のツリー」と呼ばれます。12月25日は当地では特に祝われず、普通の日となっています。