読書感想文『タタール人の砂漠』

 先ほどのエントリーのつづきです。あからさまにネタバレ的なことは書かないつもりですが、含む可能性があるのはご承知おきください。

 さて、今日私が読んだ小説『タタール人の砂漠』は第二次大戦前の1940年にイタリア人の書いた小説で、どこかで評判を聞いて、内容のさわりを聞いて読んでみたくなり、買っておいた本だった。さらに言うと、どこか想像力をかき立てるタイトルに惹かれたから、というのもあるし、あと、一応、ロシア世界に関心があり、タタールはロシアには欠かせないことから、ちょっとその辺りの事情も書いてあるのかなと思った、というのもある。しかし、読み始めてみたら、登場人物がイタリア人の名前で、タタールが舞台というわけではない、ということが冒頭で分かってしまったのだった。

 これは失敗したかも、と思ったが、訳文がひっかかることなく読める文章で、微妙な心の動きを伝えるような私好みの文体でもあり、途中飽きることなく読了出来た。

 解説にも書いてあったが、『タタール人の砂漠』は「人生そのもの」を対象にした小説といってよく、私はこういう読後感の小説はあまり読んだことがないように思う。カフカ的とも評されるようだが、思ってたのとは違った。カフカのはちょっと現実離れしてる面があるが、こちらの方がより現実に近いというか。あと、カフカでも悪意に直面するが、こちらは善意にも多く触れる機会があり、そういうのも逆に痛切に感じられてしまう仕掛けになっているようにも感じた。

ジョヴァンニの顔にも皺が寄り、髪は白く、そして足取りは重くなっていた。急激な人生の流れが、まだ五十には間があるとは言え、もう彼を脇の方へ、ふちの渦へと押しやっていたのだった。(p297)

 ちょうど私も今それぐらいの年齢で髪どころか髭にも白いものが混じり始めたこともあり、こんな文章にドキリとさせられる。主人公はそれまでずっと運命に痛めつけられつつも、何かを待ち続けるのだが、ある日、そうした老いを感じ始める。そして、……。

 出来れば、この本は取り返しの付かない人生を歩む前の若いうちに読んでおきたいところだが、様々な人生模様を経験することで、より深く感じ入るものもあるかと思う。

 私は祖母の最晩年にみっちりと付き添い、生前常々延命処置はしてくれるな、といいつつも、いざその時になってみると、そう簡単にはいかない、ということを身を持って知っているつもりで、祖母には前近代人の感覚があったんじゃないかと思うほどで、生への執着が人一倍強いわけでもなく、長生きしていることを恥じている風すらあったのだが、そんな祖母でも、そういう心境になることに、私は人生というのものの妙を見た気がした。

 今日、この小説を読み、そういう感覚が蘇ってきたように感じた。死を静かに受容したいと思いつつも、本当にそんなことが可能なのか、その時になってみないとわからないだろう。一日でも長く、とあがくかもしれないし、治療拒否なんて言い出して、煙たい頑固者になるかもしれない。

 スティーブ・ジョブスの「今日が人生最後の日であるかのように生きろ」という言葉(原文はこれかな。”If you live each day as if it was your last, someday you’ll most certainly be right.”)があるが、私のように「明日できることは今日するな」みたいな生き方をしている者からすると、そんな厳しい生き方はちょっとしんどい。しかし、そんな私でも、マンガのカイジだったかで、人工呼吸器を装着した寝たきり老人のシーンで、人生の最期で後悔しないか、という視点で人生を語る場面があるのだが、そのシーンをふと思い出すことがある。

 つい日々の雑事にかまけて、人生で何が重要で優先すべきかを見失いがちになるのだが、時々にでもこの感覚を思い出し、忘れないようにしたいものです。

 そういうわけで、一応、映像編集には着手しておりますので。。。

人生二度目三度目の閃輝暗点を発症し、頭痛に悩まされつつの読書

 今日は人生二度目の閃輝暗点が出て、その後、お決まりの頭痛に襲われ、寝込むこととなった。さらに、数時間後に人生三度目のが起こり、一体どうしたわけなんだろう。前回は初めてで冷静に観察することが出来なかったが、今回、閃輝暗点が移動することを発見した。だいたい視界の歪みで認識し、だんだん範囲が広くなり、目を開けていると気味が悪いので、つぶって休んでいるうちにいつの間にか消えている、というのがパターン、というのもわかってきた。

 閃輝暗点は収縮していた脳の血管が拡張するために起こるらしく、さらに何か引き金となるものが引き起こすようで、今回の一度目は窓から眺めた眩しい昼の光が、二度目はちょいとつまんだピーナッツかな、と思ったのだが、正直よくわからない。

 閃輝暗点が出ている間は視界の一部が欠損するため、ギラギラが気になって本も読めないし、ただただ症状が収まるのを待つしかない。不思議なことにこの症状が出てる間は痛みはないのだが、その後、半時間ほどで頭痛がやってくる。人によっては吐き気を催す場合もあるそうだが、私はその症状は軽め。ただ、頭痛と眼の奥の痛みはちょっと一時的に何もできず痛みが収まるのを待つしかないほど。

 一応、頭痛が来る前にネットで出てた後頭部マッサージや血管を収縮させるためにアイスノンで頭を冷やすなんてこともやってみたが、私の場合、あまり効果がないようで、しばらく(2,3時間ほど?)頭痛が続いたのだった。実はこれを書いている今もまだ頭痛が残ってたりして。

 こういうとき、本が読める身体的・精神的状態であれば、普段あまり読まないが、まとまった時間で読むのに適している中編か長編小説を読むのを試みることにしていて、今回は頭痛をやりくりしながら、なんとか読書が出来た。読んだ本は『タタール人の砂漠』という小説で、内容はネットで出ていると思うので、検索などしてもらうとして、私の読後感を書いておきますと・・・、ネタバレになる可能性があるので、別エントリーにしておきますw

チェルノブイリ事故から29年、ロシア語圏の記事から抜粋

 この4月26日でチェルノブイリ事故発生から29年が経過した。ある事故処理作業者の方は、事故は忘れられつつあるが、年に一度、この日ばかりは思い出してもらえるようだ、と言っておられたが、世界中でチェルノブイリ関連記事が読まれたはずで、これからも忘れないようにしないといけないし、日本でもテレビ番組「笑点」で言及されたそうだ。

 今年は、日本の記事を見ると、チェルノブイリの石棺を覆うシェルター「石棺2」関連の記事が多く出ていた。

チェルノブイリ事故29年目の日本語記事
チェルノブイリ事故29年目の日本語記事

 相変わらず資金難が続いているようだが着々と建設は進んでいるようで、「2017年11月の完成を目指す」(NHK記事)とのこと。

 ロシアの検索サイトYandexでチェルノブイリでニュース記事検索すると、追悼行事関連と思われる記事が427件検索され、地方紙が各地での追悼イベントを記事にしている。見ていると、チェルノブイリから遠く離れた街でも催されていて、チェルノブイリ事故処理にいかに広範囲から人が集められたかを物語っている。

チェルノブイリ事故29年目のロシア語記事
チェルノブイリ事故29年目のロシア語記事

 例えば、こちらではシベリアの都市ノリリスクでも催され、事故処理作業者100人が今も居住すると伝えている。また、こちらによると、親ロ派支配地域のルガンスクでも従来通り、催しが行われたようだ。

 ウクライナ通信社「Unian」のこの記事によると、キエフには4/1現在で83,000人の被災者資格を持つ人々が住んでおり、その半数が被災者互助団体ゼムリャキ事務所もあるデスニャンスキー地区に居住しているとのこと。

 あと、気になった記事で、ちょっとチェックしきれてないので、もしかしたら日本でも紹介されているのかもしれないが、「今後27年のうちに次のチェルノブイリ級の事故が起きる」という内容のニュースが各紙で報じられていた。

 元はこちらの「Of Disasters and Dragon Kings: A Statistical Analysis of Nuclear Power Incidents & Accidents」という論文のようだが、詳しくPDFまで読めていないので、記事からざっと紹介すると、チューリッヒ工科大学とデンマークのオーフス大学の科学者が1946年以降の世界中の原発で発生した事故を解析し、IAEAの国際原子力事象評価尺度とは別に独自基準で事故を評価した結果、今後50年のうちに福島第一原発事故級の事故が発生、さらに27年でチェルノブイリ原発事故級、10年でスリーマイル島原発事故級の事故が発生すると推定した。

 また、もんじゅのナトリウム漏洩火災事故は電事連サイトによると「国際原子力事象評価尺度(INES)ではレベル1とされました」とのことだが、こちらでは損失という点でロッキーフラッツやセラフィールドを上回る事故だったと評価された。

 PDFから該当部分だけコピペしておきます。興味ある方は原典をあたってください。
(Damage順。Damageとは”damage in MM 2013USD”とのことだが、2013年USドル換算ってことか? ご存知の方おられたら、ご教示ください。)

——————————
2011-03-11 Fukushima Prefecture, Japan 166088.7 7 7.5
1986-04-26 Chernobyl, Kiev, Ukraine 32078.5 7 8.0
1995-12-08 Tsuruga, Japan 15500.0 NA NA
1957-09-11 Rocky Flats, USA 8189.0 5 5.2
1955-03-25 Sellafield, UK 4400.0 4 4.3
1977-01-01 Beloyarsk, USSR 3500.0 5 NA
1955-07-14 Sellafield, UK 2900.0 3 -2.4
1979-03-28 Three Mile Island, Pennsylvania, USA 2773.4 5 7.9
1969-10-12 Sellafield, UK 2500.0 4 2.3
1957-09-29 Kyshtym, Chelyabinsk, Soviet Union 2351.4 6 7.3
1985-03-09 Athens, Alabama, USA 2114.3 NA NA
1977-02-22 Jaslovske Bohunice, Czechoslovakia 1964.5 4 NA
1968-05-01 Sellafield, UK 1900.0 4 4.0
1955-11-29 Idaho Falls, Idaho, United States 1500.0 4 NA
1971-03-19 Sellafield, UK 1330.0 3 3.2

毎年恒例の河川愛護清掃に参加

 地区で毎年春に行う河川愛護清掃に今朝参加した。それなりに上流部だが、空き缶やペットボトルなどポイ捨て系のゴミとか、家庭ごみなどがやはりある。あと、マルチなどのビニールゴミや農地仕切り用の波板など、農業関連のも多い。

 今日聞いたのは、もっと上流部の地区だと、洗濯機とかテレビとかの家電系も出てきて大変らしい。特にこうした大物家電は有料化されたこともあり、不法投棄はあとを絶たないようで。

河川愛護清掃_ゴミ
河川愛護清掃_ゴミ1 小物が多いが傘なども
河川愛護清掃_ゴミ2
河川愛護清掃_ゴミ2 ビニール袋を手にそぞろ歩く
河川愛護清掃_ゴミ3
河川愛護清掃_ゴミ3 3時間延長とあったので、石油ファンヒーターの一部か? しかし、そんなもんまで不法投棄するか
河川愛護清掃_人形
河川愛護清掃_ゴミ4 首なしの人形。元はなんだったんだろう。

 いつも参加して思うのは、ゴミをポイ捨てしないでおこうとか、流れていかないようにしないといけないな、などと思うようになるので、清掃自体の意味もあるが、啓発の意味も大きそう。子供の時からこういうのに参加しておくと、ポイ捨ての罪悪感半端なくなるので、いいことかと思う。強制参加をいやがる人もたくさんいそうだが。。。

WordPress4.1.2自動更新でサイトが見られなくなる事案が発生

 今朝、ブログをざっと書いて、投稿ボタンを押し、プレビューを確認したところ、ページが表示されず、大いに焦った。ちょうど去年のゴールデンウイーク中にサイト構築して、それから1年間、特にトラブルなく運営できていたのだが、これはどうしたことかと思い、いくつか思い当たることを試してみたが、よく分からなかったので、レンサバ業者さんにサポート依頼のメールを書いたところ、すぐに調べて頂いて、返事をもらっていたのだが、他のメールにまぎれてしまい、先ほどまで気づかずにいたのだった(大汗。ある意味、普段からサポートいらずで運営出来てることを実感した次第で。過疎サイトだが、一時的にアクセスできない状態となり、ちょっと困っていたのだが、こうしてすぐに復旧できるのも、格安にもかかわらず安定運用されているネットオウルさんのおかげであります。

 WordPressが4.1.2に自動更新されたことにより、一部で問題が発生していたのは認識していたが、どうも私のは別の理由で、不用意にテキトーに作った子テーマが悪さをしていたようだ。子テーマの動きがおかしいのは認識してたので、時間を見て、調べないといかんな、と思っていた矢先だった。そして、子テーマを無視して、元の一世代前のデフォルトテーマTwenty Fourteenを適用し直すとあっさりと表示されたのだった。

 ミヤゴシ・ドット・ネットとは別にもう一つここでサイト運営をしてるのだが、そちらも「データベース接続確立エラー」が出て、アクセスできなくなっていたので、これはなんかMySQL当たりがおかしくなってるんじゃないか、と早合点してたのだが、こちらも更新時の問題だったようで、サポートの方の指示通り、configファイルを更新することで、こちらもあっさり復旧したのだった。

 WordPressのテーマについて、1年運営してきて、このままでも使えなくはないのだが、いくつか不満な点があるので、そろそろテーマカスタマイズをしようと思い始めているところなのだが、その前にWordPressの仕組みを基礎から解説した本で一度ちゃんと勉強せんとあかんなぁ、と思っていたところ、ちょうど、オライリーから4.x対応の『詳解WordPress』という基礎から学べそうな本が出てたので、これで勉強しようかと思っている。

 

 3.x対応でよさそうな本はいくつかあるが、せっかくなんで4.x対応のでないかなぁ、と探していたので、ちょうどいいタイミング。オライリーの本の表紙は動物が描かれている事が多いが、今回はスズメのようで、今後、「スズメ本」なんて呼ばれることになるんだろうか。田舎住まいなので、手にとって見られないのが残念だが、こういうのは自分的に旬の時にえいやっと買ってしまうのがいい。

 なんて言ってる間に4.1.3に自動更新されたり、さらに4.2が来ていたりして、なんだか更新間隔が早い今日このごろ。自動更新はセキュリティ的には必要なんだろうけど、今回みたいなことがあり、いきなりアクセスできなくなるなんてことが起こるので、やはりすぐに対応出来るように、仕組みを知っておかないといかんなぁ、というのを痛感した一日でした。