木製の展示物が燃えて男の子が死亡した事故について思ったこと

 木製の展示物が燃えて中にいた男の子が死亡するという痛ましい事故が起きた。燃えやすい条件が不幸にも重なり、さらに発火時に子供が中にいて逃げ遅れた、という最悪の不幸が重なってしまい、このような事故となってしまった。なぜ未然に防げなかったのか、注意したが聞き流されたという話も出ているようだが、自分がこうした現場にいたとして、全力で止めたかというと、仮にやや気になったとしても、注意すらしなかったように思う。

 最近、林業周辺に関心が出てきて、いろいろな場に出掛けたり、自分でも週末山に入ったりしているのだが、事件の背景に普段から木と接する生活をしていないことも要因の一つにあげられるのではないかと思った。曜日の元となっている陰陽五行説では万物は「木、火、土、金、水」からなるとしており、古来より木も火も人類にはおなじみのものであるが、自分の世代ですら子供のときから木も火もすでにそんなには身近ではなかったし、キャンプとかバーベキューのときぐらいしか接する機会はなかったように思う。

 ここのところいろいろ勉強して、木の有用さを知りつつあり、木が人の精神に与える効用も見逃せないものがあって、もっと日本国内で木製品が使われるようになるといいと思っているのだが、今回の事件を契機に木は危ないと避ける動きにつながらないか心配になってしまう。今後、日本が衰退局面に入り、今までのように何でも輸入に頼るということが難しくなっていくと仮定すると、今、伐採適期となっている木材がどんどん使われるようになると予測しているのだが、当面、急展開はないものとみなければならない。

 今回の事件の再発防止策は簡単ではないが、それぞれがもっと気軽に他人とコミュニケーションを取れるような社会にする、という方向性も必要なのではないか。知らない人とは話さない、という空気が支配する、世界でもちょっと珍しい国である日本で生きるには、見て見ぬふりがマナーであるような空気感があるが、多様性を許容する社会にしていかないともうもたないし、こういう面でもう少し普通の国になった方がいいと思う。