ザポリージャ原発で放射能漏れ?

 ザポリージャ原発で許容レベルの16倍の放射能漏れ、というニュースが出ている。たとえばRTの「Radioactive leak at major Ukrainian nuclear plant – report」という記事。Lifenewsというロシアのサイトがウクライナ国家非常事態局(旧ウクライナ非常事態省)の内部文書を入手したとして、こちらで報じている。

 Lifenewsで出ている文書の赤線が引かれた部分に確かに原発のバックグラウンド放射線は4.9マイクロシーベルト/hで許容量の16.3倍高い、とある。許容量は4.9÷16.3で0.3μSv/hとして算出されている。

 この情報について、ウクライナの主要ニュースサイトをざっと見て回ったが、特に言及はなかった。ニュース検索すると概ねロシアのサイトが報じているようだ。ウクライナのサイトもロシアのサイトが報じた、として報じている場合もあったが。

 当局が隠蔽している可能性もあるが、ウクライナではメディア規制はロシアなどよりは緩めであり、このニュースを主要サイトがすべて黙殺するかなぁ、というのは、私の今現在の感想。

 ちなみに、私が信を置くウクライナ人にウクライナニュースサイトで信頼できるサイトはどこか、と聞くと、ウクラインスカ・プラウダ、しかない、とのことで、出来るだけここのサイトは見るようにしているが、ここもこの件についての言及はない。

 ザポリージャ原発公式サイトの現在のモニタリング値はこちらで参照できる。 現在、5-12μレントゲン/hで、平常値である。ちなみにあちらでは今もレントゲン表記が多いので、100で割るとおなじみのマイクロシーベルトに換算できる。(つまり、0.05-0.12μSv/h程度)

 ふと思ったのだが、単にマイクロレントゲン表記をマイクロシーベルトと勘違いした可能性はないか。5マイクロレントゲンを5マイクロシーベルトと間違って解釈したとか。

 一時的に急上昇することはありえるので、この情報がガセだと断定するにはまだ早いと思うので、続報を待ちましょう。

チェルノブイリのクリスマスツリーを人々は買うのか

 チェルカーシ州の地元テレビ局がチェルノブイリ立入禁止区域内から持ち込まれたクリスマスツリーを事前に説明した上でも人々は買うか、社会実験を実施、という記事がこちらに出ていた。

 ツリーの販売店から100mの路上でジャーナリスト扮する若者が市価の半額か1/3の価格で販売すると、プリピャチから持ち込んだツリーだと説明しても、買おうとする人はやはりいた。ただし、小さい子連れの母親は買おうとしなかったし、家に放射能を持ち込みたくないとして、買わない人も当然ながらいた

 日本でやったらどうなるか、恐らくは似たような結果になりそうな気がするがどうだろう。放射能の忌避意識がわかって興味深い結果が得られると思うのだが。日本だとクリスマスツリーは一般的ではないので、門松でやることになるか。ただ、結果は年齢層や家に子供がいるかどうかによっても変わるだろうし、もしかしたら、地域によっても変わるかもしれない。放射能汚染地域に近いほど住民の放射能リテラシーは上がる傾向があるので。

 ちなみにこのジャーナリスト氏は自ら警察を呼んだが、40分経過しても警察は現場には来なかった、とのこと。というわけで、記事はこの社会実験自体よりもこうした形で違法に販売が出来てしまうこと自体に注意喚起している。

 日本では一般商品をこういう形でゲリラ的に路上販売している現場に出くわすことはほとんどないが、ウクライナでは路上での販売はよく見かけるので、事実上チェックは追いつかず、そうした商品は実際に流通している、と現地の人が言っているのを耳にすることがある。

 福島原発事故後、流通している言説にウクライナでは出来ているのに「先進国の」日本でなぜ出来ないのか、というのがあるが、自称ウクライナ通の私としては違和感を抱かざるをえない。ウクライナでは立派な法律があっても実情は全然追いついていないので。ともかくこうした社会的状況の違いは大変大きい、ということを折に触れて言っていきたいと思っているところなのだが、なかなか伝えるのが難しい……。

 ちなみにウクライナやロシアなどの正教圏ではクリスマスは新年あけた1月7日に祝われます。なので、クリスマスツリーは「新年のツリー」と呼ばれます。12月25日は当地では特に祝われず、普通の日となっています。

赤子のいる生活

 しばらく更新をサボっていたが、久々のエントリー。

 長らく嫁さん&子どもと別居状態が続いていたが、先日二人が無事(?)家に戻り、赤子と久々に再会した。会った瞬間泣かれたらかなわんな、と思っていたのだが、マジマジと見られる程度で、泣かれはしなかった。今は遠距離でもスカイプなどでビデオ通話ができるので、忘れられることはなかったようだ(と信じたい)。

 赤子は先日、10ヶ月健診に行ってきたところで、いくつか心配な面はあるが、大きな問題なく育っているようだ。赤子のいる生活というものは、毎日が成長の証を発見する日々で、これがリア充ってやつか、と時に思わないでもないが、実際のところはそんな感慨に浸る間はほとんどなく、時と場所を選ばずに排出される糞尿の処理、寝付いたと思ったらデカい音量で鳴る行政の有線放送の時報で起きてしまったり、なぜかわからんがグズりだしたりすることへの対応に追われ、こちらの意向などお構いなしにペースが乱されまくる毎日で、なるほど、仕事で外に出てる方がよほど精神的には楽、っていうのも実感しつつあるところで。

 ただ、やはり赤子のいる生活というのは、何者にも代えがたいものがある、というのも確かなことで、自分たちがいないと確実に死んでしまうであろう存在が自分たちを頼って、泣き喚いたり、満面の笑みを浮かべてこちらにハイハイで向かってきたりする様子などを見るに、その希望の塊が親に与える影響というのは、知識としては知らないではなかったが、自分の場合、経験してみないとわからない類のものだったように思う。

 小学校の卒業文集に独身主義で行くとか書いてたぐらいなんで、子供はもちろん、結婚もするつもりはなく、40過ぎまでそういう風に生きてきたのだが、一転して、こうして妻子を養う立場になったため、特に経済面でなかなかきついものがあるのは確かで。とはいえ、ウクライナなど生活するだけでも大変な地域に一時居住し、今も過疎地で日本では不便な地域に住んでいる経験上、もはやなるようにしかならない、という良くも悪くもの居直りの境地にはいて、ずっと日本の都市圏で生活してたらこうはならなかったんだろうな、と思ったりもする。

 結婚に対するネガティブなイメージが流布され、結婚しないまま年を重ねても、社会的な圧力を受けることは以前よりは少なくなったし、かつて結婚することで得られた様々なメリットも、独り身で快適な生活が営めるようになって、かつてほどではなく、むしろ今風の感覚ではデメリットの方が多いとすら考える向きもある。そんなわけで、こういう時代にあって、あえて結婚し、子供を作って育てるのは割にあわないと思うのも仕方がない面もあろうかと思う。ただ、古来営まれてきたこうした生活をすることで得られる精神の平安がどうやらあるようだ、というのは、特に結婚する気がない人には伝えておきたいなぁ、とかつての自分に問いかける気持ちで思う。

 なんだが、久々でこういう文脈で書くつもりはなかったのだが、このままあげときます。

ザポリージャ(ザポロージェ)訪問記

2014年9月にザポリージャ(ロシア語読みで「ザポロージェ」)を訪れたときの雑記をまとめました。

ザポロージェ訪問記1 ウクライナ東部のコサックの街・ザポロージェへ

ザポロージェ訪問記2 ザポロージェのレーニン像

ザポロージェ訪問記3 ザポロージェからエネルゴダールへ

ザポロージェ訪問記4 ザポロージェ原発の衛星都市エネルゴダール

ザポロージェ訪問記5 欧州最大の原発・ザポロージェ原発へ

ザポロージェ訪問記6 エネルゴダールの街並み

ザポロージェ訪問記7 エネルゴダール郊外

ザポロージェ訪問記8 街の建築散策