ラグビーのルールをおさらいしてみた

 ラグビーネタ三連発、ということで、ラグビーのルールついて少々。

 ラグビーのルールは簡単でなく、小学生時分から見てた私でも反則の理由が分からないことがある。サッカーは比較的単純で、「相手ゴールにボールを入れたら1点入って、点が多い方が勝ち」というルールであるが、オフサイドはわかりにくいと言われる。なぜ、あのような変なルールがあるのか。一言でいうと、待ち伏せ禁止、ということで、紳士の国イギリス発祥のスポーツであり、ズルはいけない、というのが根底にはある。

 ラグビーにも同様の考えが根底にはあり、簡単に言うと、「線を超えたところにボールを置いたら点が入って、点が多い方が勝ち」というのが基本ルールで、それを楽にやらせないために、いろんなルールがある、と考えるとわかりやすいと思う。

 ゴールポストの間にボールを蹴りこんでも点が入るが、ボールを持ち込んだ場合(「トライ」という)、一気に5点も入るので、観客はトライの方を好む。昔は4点だったが、より面白くするために(つまりトライの価値をあげるため)、1992年5点となった。もっと昔は3点だったが、1972年に4点になったようだ。

 今回の快挙は日本以外の目利きの国の人たちをも興奮させるに十分だったようで、各地からいろんな声や様子が届けられている。特に最後の試合展開、ベスト8進出を狙うなら、引き分け狙いもありだったのに「無謀にも」トライを狙いに行く、という判断をし、かつ、ロスタイムに入ってて一つでもミスをしたり、相手にボールが渡った時点で負け確定、という中で、ミスを一つもせず、最後には実際にトライを成し遂げてしまった、という、今、思い出しても、ちょっと鳥肌物の展開だった。ああいう場合って得てして、トライできなかったりするものだから、余計に驚かされ、奇跡とまで言われている。

 ルールについては、動画で見ると分かりやすいので、動画付きのトップリーグ所属のチームのサイトの解説などを見ると大枠だけでもつかめるのではないだろうか。例えば、リコーの ラグビーの基本ルール など。このサイトの動画だと、初級編は丸々中級編に含まれているので、いきなり中級編から見るとよいかも。

 この機会にラグビーのルールをおさらいしてみたが、一部、もやもやとしか分かってなかったところがあった。いくつか箇条書きで自分の「にわか」ぶりを晒しておきます。

●モールについて
こちらのラックとモールはどう違う?を読んでみて、モール形成には「ボールを所持している側のプレーヤー一人、ボールを所持していない側のプレーヤー一人の最低三人のプレーヤーが必要」というのは、改めて、ああそうだったのか、と分かった気になれた。

●コンバージョンゴール
いつからトライの後のゴールキックを「コンバージョンゴール」と呼ぶようになったのか。

●シンビン(Sin Bin = 罪の箱の意)
一時的退出のルールがあることはなんとなく知っていたが、約20年前の1996年から導入されてたとは知らなかった。

●フェアーキャッチ
いつの間にか「空中でのフェアーキャッチを認める」ことになってた。昔は両足を着地して「マーク」と叫んでたが。

 というわけで、関心もたれた方は以下のハイライトなどをどうぞ。

【ラグビーワールドカップ】南アフリカ vs 日本 ハイライト(9/19)

より長いのは英語ナレーションだが、こちらの13分版をどうぞ。

South Africa vs Japan – 2015 Rugby World Cup Highlights

今回の歴史的勝利でラグビーブームが起き、ラグビー部が増えることになるかもしれないが、そうなると練習場所問題が出てくるかも

 さらに検索していると、去年ので ラグビー部員「奇跡」の全国最多 大津の瀬田北中、公立校で という記事が出ていた。

 ちゃんとしたラグビーの試合をするには30人+αを集め、ゴールのポールも必要で、何よりあの複雑なルールをみんなが理解していて、かつしっかりと瞬時に判断できる審判も必要になる、という敷居の高さがあり、競技人口が減るのは仕方がない面もあるが、記事によると、「タグラグビー」というタックルなどの「怖い」要素を省いた簡易ラグビーが小学校で普及し始めているようで、今回の「歴史的事件」もあり、競技人口が増える可能性はあるかもしれない。

 ただ、中学と高校とサッカー部だった私には懸念がある。運動場が十分に広くないと、場所の取り合いで部員同士の抗争が勃発する可能性があるのだ。基本、フィールド系のスポーツとして、日本では野球とサッカーが人気を二分しており、グラウンドの使用もこれらのスポーツがでかい顔をしてより広い面積を使うことが出来ることになっている。私の行っていた中学・高校は公立だったが、ラグビー部があって、三つ巴の闘いが繰り広げられていたのだった。

 しかし、実のところ、サッカー部とラグビー部は概ね仲がよかったりする。ボールが双方の練習してるところに飛んでいくこともよくあったが、お互い様で友好的にやりとりができるからだ。しかし、野球部は違う。まず、ボールが小さくて、当たると痛いし、何よりボール自体が小さいので、咄嗟に今、どこにボールが飛んでいるか分からず、避けようがないのだ。

 さらに悪い事に、野球というのは、練習でも試合の時と同じくらいの広大な面積を必要とする。でないと外野は練習にならないし、レフト方面はサッカー部がいるから、レフトに打ってはいけない、なんてわけにはいかない。この点、サッカーやラグビーは練習で試合分の面積が必要ということはないし、様々な練習メニューがあるので、グラウンドが混雑している時は狭い範囲で出来るメニューをこなせばよい。

 あと、野球というのはグラウンドが荒れているとボールがはねたりして、練習にならず、野球部方面にサッカーボールが飛んで行くと、とても嫌な顔をされたりする。とにかく、そのサッカーのイボイボのついたガサツなシューズで神聖なマウンドに入らないでくれ(野球部側の言い分の意訳)などと言われるので、余計にムカつくのだった。

 個人的な付き合いには影響しないが、そんなわけで部対部では仲がよいとは決して言えなかったのだった。

 一番いいのは野球部に専用のグラウンドで練習してもらうことなのだが、なかなか実際そういうのは難しいので、練習の時間帯をずらすとかするしかないだろう。

 全国でラグビー部がある中学校は中体連のサイトによると、2015年度で357校となっている。野球部の8707校、サッカー部の6973校と比較すると、ほとんどの学校にはそもそもラグビー部がない、という現状になっている。(野球・サッカーはこちらのPDF、ラグビーはこちらのPDFを参照。競技人口も同サイトにあり)

 私は腰痛や膝痛の持病があるのだが、医師の診察を受けたところ、中高時代のサッカーのせいだろう、と言われた。そうした経験から、中学高校時代は成長期なので、身体に大きな負担をかけるこうしたスポーツにあまりに力を入れすぎることには反対だが、適度な運動は様々な効果があるし、チームスポーツは見知らぬ者同士をつなぐ役割もあり、一概には否定はしない。この前もウクライナ人とサッカーをして、和んだし。

 ちょっと先を急ぎすぎたきらいはあるが、ラグビーも見始めると独特の面白さがあるスポーツであり、もっと普及してもいいと思ってるので、今回のことをきっかけにして関心が高まるといいと思う。

ラグビー日本代表が優勝候補の南アフリカに勝利したのはW杯開催効果もあるかも

 日本が南アフリカに勝ち、スクールウォーズ以来のラグビーブーム到来か、というところで、4年後のラグビーW杯開幕に向けて、盛り上がることになるかもしれない。新国立が使われる予定だったが、ゴタゴタで間に合わなくなったのは気の毒なことだっだが、こうして多くの人がラグビーに関心を持ち始めたので、関係者の皆さんも、ほっと胸をなでおろしのではないだろうか。日本ラグビー協会名誉会長・森喜朗元首相の顔はあんまり思い浮かべたくないけど、さぞお喜びのことでしょう。

 今回の活躍は選手たちの「世界一の練習量」に裏打ちされた自信から来るものといえるだろうが、もしかしたら、「W杯開催効果」というのも後押ししているような気がする。

 サッカー日本代表の話だが、1998年の予選の時、すでに2002年の開催が決定していたものの、本戦に自力で出場出来ないのに2002年開催国枠で出場する、というのは、さすがにちょっとやばい、という状況があって、なかなか予選突破できず、加茂監督の更迭もあったりしたものの、イランとの死闘に見事勝利を収め、自力での本戦出場を果たした。やはり、個人的には、日本代表サッカー史上でもっとも記憶に残る瞬間はといえば、あの日の岡野の決勝ゴール、ということになる。普段、どんな場合でも冷静に見る方だが、あの日ばかりはほんまに飛び跳ねたり、叫び声をあげたりしたものだ(ひとりで見てたのに・・・)。

 あの日の試合直後のインタビューで、当時、若き司令塔となり始めていた中田英寿は「代表はうまく盛り上がったんで、あとはJリーグをどうにか盛り上げてください」なんてクールなことを言ってたが、今のラグビー選手も同様の気持ちがあるだろう。将来的にはW杯後を見据え、国内リーグを盛り上げたい意向があるはずだ。

 今や、部活でラグビー部のあるところは少子化の影響もあってか、減少傾向にあるようで、「スクール☆ウォーズ」モデル 伏見工消える…統合で新校名公募 というようなニュースも去年出ていた。

 7人ラグビーをちょっとだけやったことがあるが、身体的接触がきつく、かなり荒っぽい競技に思え、私のような軽量級だと軽くタックル受けるだけでふっとばされてしまうので、圧倒的に身体が大きい方が得、という意識が刷り込まれていたわけであるが、今回、こうして、最軽量の日本が最重量の南アフリカを破った、ということで、ちょうどスペインサッカーが世界を席巻した時のように、身体的に劣っていても、勝つチャンスがある、というのを実力で示したのは、世界的な偉業といっても過言ではないと思う。

 実力で示した、と書いて、ちょっと不安になって「ラグビー 八百長」でリアルタイム検索したところ、森喜朗氏にからめて八百長を疑うツイートがいくつかあったものの(過去に別のスポーツで似たようなことがあったから仕方ないだろう)、試合展開からもその可能性は極めて低く、これは八百長だと断言するようなのはなかった。ラグビー 八百長 南ア戦

 南アに勝利したことで、俄然決勝トーナメント進出が現実味を帯びてきた。これからの闘い次第では、本当にラグビーブームが到来してしまうかもしれないな。

議会制民主主義について思うこと ~参議院のあり方について~

 議会制民主主義について、事前に調べると簡単にその影響を受けてしまうタイプなので、調べずに思うことを書いてみる。すでに誰かが言ってそうとか、ググればその無効性がすぐに分かるようなことを書くことになるかもしれないが、メモとして書いておきます。

 今回の採決で野党は必死の抵抗を見せたが、保有議席数の差を見せつけられ、安全保障関連法は成立した。政治制度上、この結末を見ることはみんなうすうすは分かってはいたが、それでも多くの人が今行動しないといけない、という衝動に突き動かされ、反対の声をあげ続けた。デモを揶揄する連中がうじゃうじゃ出てきたが、その多くは「反反原発」の人たちとかぶる印象を持った。彼らが反原発やデモに参加する人たちが嫌いなのは分かったが、では彼ら自身どんな世の中にしたいのか、あんま見えてこないのだが、そこんとこどうなんだろう。

 野党は今回、様々なやり方で対抗し、「見せ場」は何度も作ったが、反対の強度をこういう形であの手この手で見せるぐらいしかできない政治制度はやはり欠陥があるように思える。実質、フリーハンドで法案を通すことが出来るわけであり、急速に社会が変化する中、何年かに一度しかない選挙の結果が与える影響の度合いが大きすぎるように思う。

 参院は良識の府だそうだが、実質的に衆院で成立したら成立してしまうのであって、何の意味があるのか、という意見がある。それに対し、もう二院制なんてやめればいい、という意見もあるが、貴族院の流れから来ていて、それなりに歴史的に意味のある存在であり、そういうものには過去の人たちの知恵が含まれていることが多く、そう簡単にやめるものではないだろう。

 ただ、今のような、実質的に止める力もない参院ではその存在意義に疑問符がつけられても仕方ない。なので、どうせなら、限定的に止める力だけは与えるとかすればいいのではないか。例えば、内閣不信任案のように、会期中一回だけ拒否権を使えるようにするとか。ただ、そうすると、拒否権発動用にひどい法案を出しておいて、本当に通したいのは拒否権が出た後、ちょうどトランプの大富豪でジョーカーが出た後にゆうゆうと2を出すように出す、なんて悪知恵が働いて無効化される恐れもありそうだが。

 あと、参院は貴族院の流れで設置されているとはいえ、正直なところ、良識の府という期待をもはや多くの人は抱いていないだろうから、いっそ、そういう現実に則さない幻想は捨て去って、今の時代にあった、衆院には期待できないような役割を与えた方がいいのではないか。例えば、若い人や女性など、現実の政治になかなか声が届けられない人たちの意見を国政にすみやかに反映されるようにするため、選挙区を、今のように地域ごとに分けるだけでなく、性別や世代など、出来るだけ今の日本の人口構成に合うような属性ごとで立候補できるようにするとか。もちろん、こうした参院議員も立法ができるので、実効性のある方策を打ち出すことができるようになる。

 より具体的には、都道府県単位だと一票の格差解消が大変なので、道州制にして、各道州ごとに30-35歳など各年齢層の男女1人ずつ選べるようにするとか。道州ごとの定員で生じる格差は年齢帯で解消すれば良い(ある州は30-34歳、別のある州は30-36歳、など)。このようにすることで、女性議員が半数を占めるようになり、誰かが言ってた「女性が輝く社会」の到来により近づけるだろうし、各世代の声が届くようになるので、不毛な議論に陥りがちな世代間対立をより生産的な形で解決できる方向へと進めるようになるだろう。

 以上は、今の今思いついたような案なので、粗はあるだろうし、様々な問題があって実現は困難なのだろうが、ともかく、今の政治制度には問題が多いので、今回の出来事を契機に政治制度改革に向かうとよいのではないかと思う。

 ということで、改革は必要だと思うが、そういうテクニカルなことよりももっと根本的なところで思うことがある。それは、今、主流にいる政治家の政治信条のことで、その政治信条を持つに至った動機はいろいろだろうが、その背景に何があるのか、しっかりと語れる政治家はどれほどいるだろうか。世襲議員だらけで、生まれた時から地盤を引き継ぐ用意が出来ていて、そんな青臭いことを言う必要性もないのだろうし、有権者もそれでよしとしている現状があって、問われる場面は少ないのだろうが、どこの所属の党員であっても私はやはり叩き上げの政治家に頑張って欲しいと思う。職業選択の自由というものがあるから難しいかもしれないが、せめて参院だけでも世襲はあかん、そして、コスタリカみたいに連続で出てもいけない、とか出来ないものか。

 政治信条については、一昔前の世代の戦争反対への思いは、どこか、経験に裏打ちされた迫力のようなものがあり、人をして納得させずにはおかない何かがあったように思う。戦争を知らない我々戦後の各世代の反戦熱はどうしても相対的に低く感じられるし、戦時想定にしても、リアリティが感じられない。しかし、これはどうしようもないことだと思う。だって、実際、戦争を知らないので、思い入れを持ちようがない。

 しかし、こういう戦争を知らない世代でも何らかの強い思いを持ちうるはずだ。それは何なのか。

 ちょっと疲れてきたので、続きはまた今度、ということで。

安全保障関連法が成立した今日、このところ感じていたことを書いてみました

 2015年9月19日未明、安全保障関連法が成立した。この法律については、様々な分野の方々が懸念を表明しており、私自身もなぜこの今というタイミングで、国民的理解が得られていない中、このような拙速なやり方で強引に法案を通す必要があったのか、理解に苦しんでおり、一体、この問題の背景に何があるのか、専門家でもなく、むしろ、問題の本質を理解していないかもしれない私が何かを言う意味があるのかどうかも分からないが、突っ込みだすと専門領域に入ってしまうこの問題に関し、若い世代の人たちが自分たちも勉強中だと述べつつ行動していたことに呼応し、日本では世代的に真ん中あたりに位置するおっさんとしても一言ぐらいはゆうておこうかと思ったので、恥さらしになるかもだが、この間、思っていたことなどをつらつらとメモしておきます。

 原発の話題などもそうだが、こうした一筋縄ではいかない問題と対峙する時、自分とは意見が異なる陣営の話を聞くようにすると、自分なりに問題点がはっきりしてくる。彼らの言い分を総合すると、要するに、中国の台頭への対応と日本の国際貢献のため、ということになるのだろうと私は理解した。

 中国についていうと、昨今の尖閣諸島を巡る動きなどから、軍事的脅威を感じる向きが増えていて、対抗するためにはアメリカとの同盟関係をより強固なものとすることで抑止力としたい、ということが背景にあると。ただ、個人的には中国が日本にどんどん攻めてくる、というような可能性は、ないとは言えないが、そんなことをしても中国の利益となるとは思えないので、今のような形で主に中国国内向けパフォーマンスとしていろいろと日本を刺激してくる、という程度の諍いが当面は続くのではないかと思っている。

 歴史的に見ると、防人の時代があったし、元寇もあったわけであるが、漢民族が主体となって日本に攻め入って来たことはないので、今後も攻めてこないだろう、という推論は成り立つ。ただし、ウクライナ政変をきっかけにロシアがしかけた「ハイブリッド戦争」でクリミア併合があっさりとなされてしまった、という新しい事態が今の世界にはあり、日本がかつて日露戦争に勝利してイケイケになり、軍部の独走を許したように、中国も軍部が独走をする可能性が指摘されており、国としての意思とは別にして、中国が旧来のような形で武力でもって日本に攻めてくる可能性はまずないだろうが、より洗練された形で何らかの攻撃をしかけてくる可能性はあるとはいえるだろう。

 あと、思っていたのは、日本の国是として、古の昔より「中国とは距離を取る」というのがあって、「日本」という国号からして中国を強く意識したものとなっており、隣人が嫌なら引っ越せばよいわけだが、国まるごと引っ越すわけにはいかないので、こうしてつかず離れずの関係を続けていくしかない、ということで、中国側としては、日本は数ある周辺国の一つに過ぎないが、日本にとって、中国の存在は常に巨大で、この距離感は日本側が飲み込まれないために古来より身に着けてきた知恵なのであって、これはもう日本が島であり続ける限り、人類史的時間感覚でいえばほぼ永遠に続く問題といえるだろう。

 私は割りと人口学と地政学で説明されると腑に落ちる、というところがあって、地政学については基本上記の通りで、あと太平洋など海の動きを見る必要があるだろうが、それはちょっと置いといて、人口の方を見ておくと、今、適当にググって出てきた「世界と主要国の将来人口推計」で中国とアメリカを見てみると、中国は2100年人口は今より結構な割合で減少しているが、アメリカは今よりもさらに増えることが予想されている。今後、南アジアやアフリカで人口増加が続き、徐々に欧米を中心とした時代からアジア寄りに移行していくことになるだろうが、それでもアメリカを中心とした世紀がまだまだ続くと見てよいだろう。

 アメリカと中国の「G2」の時代到来で、韓国同様にアメリカか中国か、という選択肢があるといえばあるが、そういうわけで日本がアメリカを捨てて、中国につく、ということは歴史的に見ても、現在の状況を見てもほぼ100%ないと断言してもよいだろうから、この巨大な隣国となんとかうまくやっていかないといけないわけで、そのための日米同盟強化、ということに対して、一定の理解を示す人がいることに対しては私も理解する。

 次に国際貢献について。戦争放棄を謳っている憲法を戴く国として、国連からの求めであったとしても、日本は戦争出来ない国なので、すいませんが、うちは人も物も出せません、で通してきたが、経済的発展を遂げ、GDPで世界第二位になった国として、相応の国際貢献をもとめられるようになり、1990年からの湾岸戦争で多額の資金を提供したが評価されず、アメリカより”Show the flag”だの、”boots on the ground”だの言われ、人的貢献を求められるようになり、PKO派遣を経て、さらに踏み込んだ支援を要請されている、ということになっていると私は理解する。

 私は、こういう時、自らの想像力を超えることではあるが、自分が実際に交渉担当になってみたときにどんなことになるかを想像するようにしている。こういうのって、タフ・ネゴシエーターが担当する場合もあるだろうが、意外といろんな力学により何故かその場に居合わせてしまって、気乗りしないが、仕事なんでやってる的な人が担当だったりすることもあるだろうと思う。ほんで、自分個人としては、アメリカからの自立の方向に舵を切りたい意向はあるものの、現実世界で経済の結びつきも強く、アメリカ様の機嫌を損ねると日本経済が大打撃を蒙り、自分の身内が失職したりするかもしれない、自分の子供が職にあぶれるかもしれない、という可能性もある中、どんな交渉ができるか。

 ”Show the flag”について、意味をどう取るか、検索すると “flagは自衛隊を示している”、という意見もあれば、“外務省と、自衛隊の海外派遣を推進したい政治家の言う「湾岸戦争のトラウマ」とは、外務省のミスであり、アメリカからのメッセージの背後にある本心を読み違えた思い込みだった”というのもあり、どちらが正解とも言いがたいように見えるが、結果として受けた日本側はそれを何がしかを意味する「圧力」と感じ、日本の政策決定に影響を与えた、というのは間違いのないところだろう。

 あと、こういう場合、意図を察して、先回りして相手の喜ぶことをして良い顔をしたい、というような面もあるんじゃないだろうか。国益対国益の場といえど、最終的には個人の思惑の影響は避けられず、その立場の違いから、日本側はどうしてもジャイアンの機嫌を取るスネオみたいなことになりがちなのも、そうはあって欲しくはないが、理解はする。

 話はずれるが、先頃自民党を離党した滋賀県選出の衆院議員の発言がいろいろと物議を醸したが、地盤看板を持たない落下傘候補の議員が上層部の覚えめでたくなりたい一心でちょっとやり過ぎた、という話が出てて、その後の自民党の素っ気ない対応を見ても、この説はあながち穿ちすぎ、というわけではないように思える。

 誰しも、弱い立場に立たされたら、太鼓持ちというか、おべっかを使わずに生きていくことは簡単ではなく、こういうのと無縁で生きていける人がいたとしたら、それだけで相当な果報者ということが出来るだろう。逆に言えば、こういうのを上手に利用するのが大人というものであり、アメリカや自民党はこういう面にかけてはやり手が揃っているのだろう。

 格差固定社会になりつつある日本だが、国としても、第二次大戦の連合国そのままの国連の枠組みの中で、戦後70年を経ても敵国条項の削除もなされず、敗戦国扱い、という立場からの脱却は容易ではなく、アメリカとの立場が対等になる、というのも、現状想像しがたく、当面変わることはないだろう。『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』という本があったが、返す返すも負ける戦争はすべきではなかった。でも、負けてしまった現実があり、その現実を噛みしめるところから出発するかしない(いちおーゆうとくと、勝てる戦争もダメなんだけどね)。

 しかし、未来永劫アメリカの庇護の元にいるわけにもいかないだろう。私はできるだけ早く自立に向けた道を進むべきだと思うし、たとえ、アメリカから経済制裁などの嫌がらせをされたとしてもアメリカの属国状態を解消した方がよいと思っている。

 軍事面に疎い私の素人認識であるが、核兵器の発明により大国同士の全面戦争はなくなったわけで、中国の軍事的脅威を過剰に見積もるべきではないと思う。ついでに言っておくと、軍事バランスが取れない国同士でも全面戦争にはならないだろう。実質的問題はあるが、ロシアとウクライナは全面戦争はしていないことになっている。なんといおうと、軍事力ではロシアには太刀打ちできないことをウクライナ人自身が誰よりもよく分かっている。

 で、どういう方向に進むのがよいと私は思っているのか。私個人は、日本は先の大戦で手痛い経験をし、戦争・核に国民的アレルギーがあるので、後方支援は出来ない、で押し通せば良いと考えている。後方支援については、補給路を絶つのが戦局を有利にする常道であり、補給源が攻撃に晒される可能性がある、という懸念は当然のことだろう。総じて思うに、アメリカに過剰に慮る必要はないのではないか、ということで、どうも戦後ずっとアメリカに近い筋の話が重用されすぎるきらいがあるように感じるのだが。

 国際貢献に関しては、何も後方支援などの形をとらなくても復興支援など別の形で可能であるし、国際貢献としての難民受け入れも検討すべき時期に来ていると思う。

 今後、アメリカの弱体化で世界は多極化していく、と言われるが、まだまだアメリカの世紀は続くと私は見ている。ここのところの生活に関連することで新しい動きは、ほとんどがアメリカ発で、アメリカ以外の人々の生活も変えている。本当にこんな世の中になってよかったのか、その良し悪しはあるだろうが。そういうアメリカと付き合っていく際に、スネオ的立ち位置で経済的繁栄を謳歌する時代はとうに過ぎ去っていて、今後、アメリカとしては、衰退していく日本に対し、わしらは別に出て行けゆうなら出て行くがおまえらどうしたいねん、と問われていくことになるだろうと思う。その時に、中国脅威論に囚われすぎて、アメリカにどこまでもついていきます、で行くのがよいのかどうか。

 私個人は安倍首相のようなボンボン育ちはどうしても好きになれないし、何故氏がここまで盤石の権力基盤を保持出来ているのか、理解に苦しむが、一応、祖父の岸信介の自主独立路線を精神的に引き継いでいるのだという話もあり、この法律群に氏のそういう思惑が反映されている、と考えてみたが、正直ようわからん。

 ともかく、これで終わりではなく、引き続き、この法律群がどのように適用されていくのか、しっかりと見ていきたいところで。

 他にこのところ思っていたこととして、日本の政策決定のあり方として、今の形の議会制民主主義でよいのか、というのがあるのだが、また別の日に。

 最後にNHKによる、まとめを丸コピしときます。しかし、なんでNHKは過去記事消してしまうのだろう。民間の新聞社では過去記事を保持してるところが多いのに。皆様のNHKというなら、それぐらいのことはやってほしい。


安全保障関連法 改正と新法の概要
9月19日 3時31分

【国際平和支援法(新法)】
新法の国際平和支援法は、国際社会の平和と安全を脅かす事態に対処する外国軍隊への後方支援を、そのつど、特別措置法を作らなくても対応できるよう、恒久法として制定したものです。

【自衛隊法】
自衛隊法の改正には、集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」の際に防衛出動を命じ武力の行使を可能とするほか、海外での邦人救出をできるようにすることなどが盛り込まれました。

【国際平和協力法】
国際平和協力法の改正では、国連のPKO活動で、いわゆる「駆け付け警護」や、住民の安全を確保するため、巡回や警護、検問といった活動を新たに可能にし、そうした任務を遂行するための武器の使用も認めるとしています。

【重要影響事態法】
周辺事態法を改正した重要影響事態法では、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態を、「重要影響事態」と位置づけ、その際に行う外国軍隊への後方支援には、地理的な制約がないことを明確にしました。また、国連が統括しない国際的な平和協力活動について、EU=ヨーロッパ連合のような
国際的な機関から要請がある場合や、国連安全保障理事会など、国連の主要機関から、活動が支持を受けていることを要件に、参加を認めるとしました。

【船舶検査活動法】
船舶検査活動法の改正では、「周辺事態」の際に自衛隊が行うことができるとしていた、他国の不審な船舶への立ち入り検査について、重要影響事態や、国際社会の平和と安全を脅かし、それに共同で対処する事態でも、実施することができるようにしました。

【事態対処法】
事態対処法の改正では、集団的自衛権の行使が可能となる事態を、「存立危機事態」と定義し、「わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃により、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と定義しています。

【米軍等行動関連措置法】
日本への武力攻撃事態に対処するアメリカ軍への補給などの支援措置について定める米軍行動関連措置法は、米軍等行動関連措置法に改正し、支援対象に、ほかの外国軍隊も追加するとしました。

【特定公共施設利用法】
特定公共施設利用法の改正では、日本への武力攻撃事態などの場合に、自衛隊やアメリカ軍が、港湾や飛行場などの公共施設を利用できるよう定めたもので、アメリカ軍以外の外国軍隊も対象に加えました。

【海上輸送規制法】
海上輸送規制法の改正では、日本への武力攻撃事態の際、船舶検査を行う手続きを定めていますが、新たに「存立危機事態」の際にも、船舶検査を行うことができるようにしました。

【捕虜取扱い法】
捕虜の拘束や抑留は、国際法に基づき対応するよう定めている、捕虜取扱い法の改正では、「存立危機事態」にも、この規定を適用するとしました。

【国家安全保障会議設置法】
国家安全保障会議設置法の改正では、NSC=国家安全保障会議での審議事項に、「存立危機事態」や、「重要影響事態」への対処を加えるとしました。